国内インディーゲームスタジオ illuCalab. (いるからぼ)は2024年4月24日,PC向けデッキ構築型ゲーム「
ハートオブクラウン オンライン」の
早期アクセス版をSteamでリリースした。
本作は,2011年6月に発売されたFLIPFLOPs制作の同人発ボードゲーム
「ハートオブクラウン」の新デジタル版で,アナログ版となるボードゲームは
全世界で5万部以上を売り上げた話題作だ。「ハートオブクラウン」のデジタル版は,2017年12月に前身となる
「ハートオブクラウン PC」が出ているが,諸々が一新されたリニューアル新版となっている。本作は
「ドミニオン」ライクのデッキ構築ゲームなので,ドミニオンや「Slay the Spire」などをプレイしたことがあればすんなり入れるかと思う。
「ハートオブクラウン オンライン」で特に注目すべきは,
2022年1月に発売された「ハートオブクラウン 第二版」のカードを使用していることだ。各種カードに修正が入り,ゲームバランスが一新されているので,昔「ハートオブクラウン」をプレイした人や旧デジタル版の「ハートオブクラウン PC」しか遊んでいない人も気分新たにプレイできる。
前置きが長くなったが,
本稿では「ハートオブクラウン オンライン」のプレイレポートをお送りしていく。未プレイの人にもゲームの雰囲気が伝わるような内容になっているので,ぜひご一読いただければ幸いだ。
デッキを強化しつつ,まずはプリンセスの擁立を目指す
まずは,ゲームの流れを簡単に説明していこう。本作は,
手札のコイン(領地カード)を用いて場に出ているさまざまなカードを購入し,デッキを強化していくゲームだ。「ドミニオン」をやったことがある人なら,このあたりは同じ流れになるのでイメージしやすいはず。
初期デッキに入っている「農村」と「見習い侍女」
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初期デッキは1コインを生み出す
「農村」7枚(※)と特に役に立たない
「見習い侍女」3枚なのだが,場のカードを購入してデッキに加えることで,この初期デッキがどんどん強力になっていく。
※手番が2番手以降だと,救済措置として「農村」はより強力な「果樹園」に既定の枚数が入れ替わる
ドミニオンの「銀貨」「金貨」にあたるカード。左上に書いてある数字が購入コストで,真ん中のコインの中の数字が,プレイ時に生み出せるコインの量だ
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購入できるカードは,2コインを生み出す領地カード
「都市」,3コインを生み出す領地カード
「大都市」のほか,
ランダムマーケットに出ている8種類のカードだ。これらのカードはさまざまな効果テキストを持っており,購入することでデッキの強化に大きく貢献してくれるはずだ。
赤線で囲んだ場所がランダムマーケットで,ここには最大8種類のカードが公開されている。公開されているカードの山がなくなると,即座に山札のカードを公開し,8種類になるまで新たに置く
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ちなみに,
ドミニオンと違って常にすべてのカードが場に出ているわけではなく,一度に最大8種類までしか場に出てこないので要注意。取ろうとしていたカードが突然マーケットからいなくなったり,新たなカードがマーケットに急に出てくることもある。
また,
「継承点」と呼ばれる得点を稼ぐための
「継承権カード」も購入可能で,最終的にはこれを購入していくのだが,詳細は後ほど触れる。
ある程度デッキを強化した後で考えたいのは,
「プリンセスの擁立」だ。本作では,6コインを使用することでプリンセスを擁立できるのだが,これによって得られる
「直轄地」がないと勝利に必要な継承点を稼げないので,
ゲームに勝つためには必須の行動となる。
擁立できるプリンセスは6種類存在し,選んだプリンセスによって得られる恩恵も異なる。継承点6点が得られる
ルルナサイカ,1ターンに1回だけ捨て札のカードを拾える
ベルガモット,カードの購入コストを永続的に1下げる
クラムクラムなど,その効果は多種多様だ。速攻でクラムクラムを擁立する動きは,わかりやすく強い。
擁立するプリンセスは,これら6人から選べる。序盤の擁立が強いプリンセスもいれば中盤以降の擁立が強いプリンセスもおり,さまざまな特徴を持つ
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プリンセスの擁立時には,
擁立に使った領地カードのうちコストが高い3枚が「直轄地」に移動するのだが,この時に
「農村」が送られると1枚ごとに-2点のペナルティを受けてしまう。弱い農村をデッキから減らせるので悪いことばかりではないが,もし農村2~3枚を直轄地に送ってしまいそうな場合は,-4点や-6点など,受けるペナルティもかなり大きくなる。
なお,「都市」や「大都市」,もしくは後手番でもらえる「果樹園」を用いることで,このペナルティを受けない形での擁立が可能だ。
「農村」を直轄地送りにすると,1枚ごとにカードに書いてある-2点のペナルティを受けてしまう。ただし,後手番で初期デッキに入る「果樹園」は「農村」と違ってこのペナルティがない
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また,直轄地を得た後に移動する3枚の領地カードは,そのターンに使用しない
「行動カード」を
次のターンにキープ(※)するのに利用できる。この「行動カード」は,最初で触れたランダムマーケットで購入できるカードの大部分にあたるのだが,これについては後ほど記していく。
※キープできる行動カードは,セットされた領地カードのコスト以下のカードのみとなる
継承権カードを直轄地にセットして合計20点以上を稼ぎ,「戴冠式」を挙げよう
「直轄地」を得たあとに手札の継承権カードをクリックすると,メインフェイズを終了して継承権カードを直轄地にセットすることが可能だ
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プリンセスを擁立して「直轄地」を得ると,手札にある継承権カードを直轄地にセットできるようになる。そうすることで勝利条件に必要な
「継承点」を獲得できるので,これによって合計20点以上を獲得して
「戴冠式」を挙げるのがゲームの目標となる。
もっとも,20点以上を集めて戴冠式を宣言すれば即勝利というわけではなく,
戴冠式を宣言したプレイヤーが出てから,ほかの各プレイヤーが1ターンずつを消化した後にゲームが終了(※)となる。最後の1ターンで,もしほかに20点以上を集めて戴冠式を宣言するプレイヤーが出てこなければ,そのままゲームに勝利できる(※)。
※戴冠式以外にもゲームの終了条件はあるが,ここでは割愛する
※もし,ほかに戴冠式を宣言するプレイヤーが出た場合は,宣言プレイヤーのみによる30点以上先取の延長戦に突入する
常に場にある継承権カード「宮廷侍女」「議員」「公爵」の3種。点数効率が良い「公爵」を購入するのがおすすめだ
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こういった流れになるため,継承権カードを購入するのは基本的にプリンセスを擁立した後になるだろう。継承権カードは
「宮廷侍女」「議員」「公爵」の3種が常に場に存在するほか,ランダムマーケットのレアカードとして
「帝都カリクマ」「皇帝の冠」の2種が用意されている。
なお,「帝都カリクマ」は,継承権カードのセットのアクションを行わずに直轄地にセットできる特殊能力持ちだ。
「帝都カリクマ」「皇帝の冠」の2種はランダムマーケットにそれぞれ1枚だけ存在する。コストはかなり高価だが,その効果は強力無比
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また,
継承権カードのセットを行ったターンはカードの購入を行えないので,要注意。継承権カードのセットは,手札にあるカードなら一度に何枚でもセットできるので,一気に複数枚のカードのセットを狙うのも,またひとつの戦略だ。
マーケットで購入できる「行動カード」をうまく活用しよう
「行動カード」の一例。これらはランダムマーケットから購入可能だ
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さて,簡単なゲームの流れはこんな感じだが,ここからはランダムマーケットで購入できる
「行動カード」についても触れていこう。行動カードは多種多様なものが用意されており,勝利を目指すにはこれらを有効に活用することが必要不可欠となる。
行動カードを使う上で注意したいのが,カード同士の
「連結」だ。実は,領地カードを含めた各ターンに場にプレイできるカードには,その後に続けてプレイ可能なカードの数があらかじめ決められている。カードの右隅に矢印のような
リンクシンボルが1つ描かれている場合は連結1,右隅と下隅の2つ描かれている場合は連結2,何も書かれていない場合は連結0となる。
「早馬」が連結2,「城壁」が連結1,「歩兵大隊」が連結0のカードだ。連結0のカードは使いづらいが,その分強力な効果を持つ
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カードをプレイする
「メインフェイズ」では,
リンクシンボルの矢印の先にしかカードを置けないので,連結0のカードを場に置くと,以降は何もカードをプレイできなくなってしまう。しかし,
連結2のカードを前もって置いておけば,下隅の矢印の先に連結0のカードを置いてもまだ右隅の矢印の先にカードを置けるので,その後もカードのプレイを続けられる。
連結2のカードは,言ってしまえばドミニオンの「村」のようなもので,「連結0のカードをプレイできる回数を増やせるカード」と覚えると分かりやすいだろう。
「錬金術師」は連結1を持ちながらカードを2枚引けるので,続けてプレイでき,非常に使いやすい
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行動カードの中で,特筆すべきものとして挙げておきたいのが
「錬金術師」だ。これは連結1を持ちつつも,カードを2枚引けるという効果があり,このカードをプレイし続けると手札を増やし続けられるので分かりやすく強い。慣れないうちは,特に優先して購入するべきカードとして意識するのをおすすめする。
そのほか,連結2の
「のみの市」と連結0でカードを2枚引ける
「交易所」を組み合わせてカードを引き続けるコンボを目指すなど,場にある行動カードをうまく組み合わせることで強力なデッキを構築可能だ。場に出ているカードを見て思考し,あなただけのデッキを作り上げてゲームの勝利を目指そう。
噛めば噛むほど味わえるスルメゲー。カードゲームが好きな人には特におすすめ
さて,ゲームの内容についてはこんな感じだが,未プレイの人に向けた本作の感想は
「噛めば噛むほど味わい深いスルメゲー」だ。場に出ているカードや擁立するプリンセス次第でさまざまな戦略を練ることができ,毎回違ったゲーム体験を得られる「デッキ構築ゲー」ならではの面白さがある。
プレイ後に
「あの時こうしておけば良かったなあ」「次やってみよう」という感覚もあり,リプレイ性はかなり高い。慣れれば1プレイが20分ほどで終わるため,
さくさくプレイ可能な点もおすすめポイントだ。ボードゲーム初版の発売日が2011年とかなり前でありながら,いまだに根強いファンがいるのも頷ける名作といえる。
現状では
CPU戦と
オンライン対戦が用意されているが,発表された
ロードマップによれば,今後は
ランクマッチやシングルモードの実装なども予定されているという。好きなカードセット(サプライ)で対戦をできる機能も2024年6月頃に実装予定とのことだ。
デッキ構築ゲームやカードゲームが好きな人には特におすすめできるタイトルなので,ぜひ購入して遊んでみてはいかがだろうか。