いわく付きのイタリア産ホラーADV「HORSES」，GoG.comで配信開始。全裸人間たちが馬として生きる牧場で，14日間を耐え抜き，真実を暴け

　イタリアのインディーデベロッパSanta Ragioneは2025年12月2日，SteamやEpic Games Storeで発売前から販売拒否されたことで話題になっていた，ホラーアドベンチャーゲーム「HORSES」の配信をGoG.comで開始した。価格は4.99ドル。



　「HORSES」の主人公は，夏休みのバイトのために田舎の牧場にやってきた青年アンセルモ。しかし牧場にいる馬たちは全員が馬マスクを付けただけの全裸の人間だった。プレイヤーは14日間，この狂気の中で牧場主に与えられた仕事をこなしながら，隠された真実を突き止めるために耐えていく。


　グラフィックスはモノクロで，1920年代の無声映画や1960年代に流行した8mmカメラで撮影された自主映画のような雰囲気で，取材でプレイした際（関連記事）には，ずっと「カタカタ，カタカタ」と映写機が動いているような音が聞こえていた。会話はキャラクターが話すのではなく，そのシーン直後に挿入される字幕専用ページの文章を読んでいくという趣向だ。


　「HORSES」に登場する馬人間たちは全裸だが，恥部はモザイクがかけられており，性的描写そのものはない。しかし，発売直前の11月25日に2年以上にわたり公開されていたSteamストアページが，コンテンツガイドラインに反しているという理由以外に具体的な説明がないまま，販売禁止通告が行われた。そして，12月1日にEpic Games Storeも同様の処置が取られた。

　これに対してSanta Ragioneは，「グロテスクで破壊的なイメージを用いて，権力，信仰，そして暴力に立ち向かうというテーマであり，私たちは主観的なわいせつ表現の基準を拒否します」と声明を発表（リンク）。大人向けのホラーゲームであるという立場を貫き，単純な定義による検閲は，芸術表現を規制し，我々の数年間の努力を無駄にすると非難している。そんな彼らに助け舟を出したのが，GoG.comだったというわけだ。


　「HORSES」は英語とイタリア語のみのサポートとなっており，プレイするにはハードルが少し高いが，ゲーム中にプレイヤーが行う選択は単純なので，プレイするのにそれほど苦労することはないだろう。ただし，プレイする人をかなり選ぶタイプのゲームであることは間違いなさそうだ。