
インタビュー
[インタビュー]新作「Vindictus: Defying Fate」はどんなゲームになる? 目指すプレイ体験や詳しいゲームシステムをディレクターに聞いた
マビノギ英雄伝をベースとした新作アクションRPG「Vindictus: Defying Fate」,パブリック・アルファテストを6月9日にSteamで開始

ネクソンは本日(2025年5月19日),同社が開発中の新作アクションRPG「Vindictus: Defying Fate」について,パブリック・アルファテストを6月9日にSteamで開始すると発表した。開催日決定を記念した新トレイラー映像も公開され,新キャラクター「Tieve(ティイ)」の姿や戦闘シーンを確認できる。
本作は,同社のIP「マビノギ英雄伝」を題材としたアクションRPGで,シングルプレイを中心としたコンテンツや,手応えのあるアクションバトルが体験できる。Unreal Engine 5を使用した美麗なグラフィックスや,その美しさを存分に楽しめるコスチューム機能など,キャラクリエイトや撮影を楽しみたい人にも注目のタイトルだ。
今回,アルファテスト開始前に,本作のディレクターであるオ・ドンソク氏にメールインタビューを行い,2024年3月に実施されたプレアルファテスト版から追加されたシステムや,「マビノギ英雄伝」とのつながり,開発の経緯などについて聞いた。
どのようなゲームになるのかも詳しく聞いたので,本作が気になっている人はぜひ確認してほしい。
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目指すのはクラシックなアクションゲーム体験の提供
4Gamer:
本作は「マビノギ英雄伝」と同世界観の物語になるそうですが,新規の世界ではなく,「マビノギ英雄伝」をベースにした理由を教えてください。
オ・ドンソク氏(以下,オ氏):
原作「マビノギ英雄伝」のリッチな世界観や特徴的なアクションシステムには大きな価値があり,これらの要素は現代の技術とデザインで再構築するに値すると考えています。チームには長年アクションRPGを開発してきた豊富な経験がありましたので,この強みを生かしてエキサイティングな新作ゲームを作る自信もありました。
4Gamer:
「マビノギ英雄伝」のキャラ,敵は多く登場するのでしょうか?
オ氏:
「マビノギ英雄伝」から引き続き登場するキャラクターはもちろん,まったく新しいキャラクターや敵との出会いにもご期待ください。原作のストーリーを再解釈し,さらに発展させながら,物語の重要な場面をつなぐリンクとして機能するようデザインしたNPCや,世界にさらなる深みを与える新たなストーリーも追加しています。
4Gamer:
バトルシステム(アクション)については,どのようなプレイ体験を目指していますか。トライ&エラーを繰り返すいわゆる「死にゲー」を目指すのか,爽快感やキャラの成長を楽しむスタイルになるのかを教えてください。
オ氏:
私たちの目標は,プレイヤーの習熟とキャラクターの成長をバランスよく両立させた,クラシックなアクションゲーム体験を提供することです。どちらかを優先するのではなく,どちらも上達に欠かせない柱だと考えています。
本作はソウルライクなタイトルほど過酷ではありませんが,過度に簡単にならないようにも意識しました。とはいえ,不公平な難度になるようには設計されていません。ボスの難度が高すぎる場合,プレイヤーはキャラクターを強化したり,好みのプレイスタイルに合わせたりして難度を調整できます。
4Gamer:
2024年に実施したプレアルファテスト版をプレイした人からの反響はいかがでしたか。
オ氏:
フィードバックの中で特筆すべきものの1つが,レベルデザインに関するものでした。具体的には単にマップを移動したり,ボスとの遭遇を繰り返したりするのではなく,もっと変化に富んだインタラクションを望んでいるというものです。
そうしたフィードバックを受けて,今回のアルファテストでは,まったく新しいレベルデザインにしました。プレイヤーはインタラクティブな移動要素や環境トラップを体験できるようになり,より魅力的でダイナミックなゲームプレイをお楽しみいただけると思います。
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4Gamer:
プレイヤーからの意見などを経て,アルファテスト版で改善・変更したポイントがあれば教えてください。
オ氏:
細かなアップデートはたくさんありますが,主要なものに絞って紹介しますと,アクション面ではタイミングよくかわしたりガードしたりすると,追撃が発生する「ジャストアクション」を追加しました。併せて,ボス戦ではフィニッシュアクションが新たに登場します。
さらに,それぞれ個性的な戦闘スタイルをもった2人の新プレイアブルキャラクター,「デリア」と「カロック」が加わります。
バトルエリアについても,大幅な変更を加えました。プレアルファテスト版と比較して,まったく新しいレイアウトに再構築しています。また,今回のアルファテストでは,プレアルファテストに比べ,よりメインストーリーを進められ,ボスとのエンカウント数も2倍以上になっています。そして,4人での協力プレイコンテンツも追加しました。
そのほかに,キャラクターのカスタマイズオプションが大幅に拡張されています。プレイヤーは自分の外見をさらにカスタマイズし,よりバラエティに富んだ楽しみかたができるようになりました。
4Gamer:
アルファテスト版で注目してほしい,遊んでほしい要素はどのコンテンツでしょうか。
オ氏:
プレアルファ版からマップレイアウトを大幅に刷新しましたので,プレイヤーの皆さんが新しいマップの構造を楽しみ,まったく新鮮なものとして体験してください。
また,キャラクターのコスチュームや身体の動きに適用される物理演算にも,とくに重点を置きました。ただ歩く単純な動きでも,詳細なアニメーションとリアルな物理演算によって,より没入感と満足感を得られると信じています。
こうしたエフェクトは戦闘でも同様で,キャラクターのモーションとコスチュームがリアルタイムに反応する,ダイナミックなインタラクションをお楽しみください。
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バトルはジャストアクションなどの新システムが追加。仲間NPCは今後さらなるコンテンツへの発展も?
4Gamer:
アルファテストで追加される,「Precision Action」はいわゆるパリィ,カウンターに近い要素という認識で合っていますか。ガードやドッジに派生するようですが,このアクションはキャラによって異なるのか,プレイヤーが状況に応じて選択できるのかも教えてください。
オ氏:
「ジャストアクション(Precision Action)」は,特定の敵の攻撃に対して,正確なタイミングでガードまたは回避すると発動します。それに続くアクションは,使用しているキャラクターによって異なります。攻撃をパリィしてブロックするキャラクターもいれば,回避して反撃するキャラクターもいます。
これらの動きは各キャラクターのアイデンティティに紐づいているので,プレイヤーが手動で選択するのではなく,キャラクターのスタイルに基づいて自然にアクションが展開されます。その代わり,その後のスキルはキャラクターがあらかじめ持っているアビリティによって自動的に決定されます。
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4Gamer:
敵のダウン状態は,戦闘を継続しているうちに自然と発生するのでしょうか。それとも積極的に攻撃を仕掛けたり,ジャストアクションを狙っていかないとダウンはできませんか。
オ氏:
攻撃の種類によってダウンダメージの量が異なりますが,通常の攻撃やスキルでもダウンを狙うことはできます。タイミングよく繰り出すジャストアクションが,もっとも強力ではあります。
4Gamer:
アルファテストで新たに追加される2人のキャラクターは,どのようなキャラクターなのでしょうか。
オ氏:
プレアルファテストからプレイ可能だったリシタとフィオナは,「Vindictus: Defying Fate」の基本的なアクションに慣れていただくためのキャラクターとして設計されました。
それに対して今回追加されるデリアとカロックは,状況に応じたアクションや意図的な制約など,特定の戦闘シナリオに適したプレイスタイルが特徴となっています。プレアルファテストからのフィードバックに基づいて,より洗練された戦闘の方向性を目指しました。
もちろん,リシタとフィオナの開発にも調整を入れています。彼らの戦闘システムも大きくアップデートされ,例えばリシタのヒューリーはより素早く直感的に使えるようになり,フィオナのシールドスキルは,有用性や選択肢がさらに増しました。
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4Gamer:
プレイ中に使用キャラクターを変更することは可能でしょうか。また変更できる場合,レベルなどは引き継げますか。
オ氏:
戦闘中にその場で即時キャラクターを切り替えることはできませんが,変更自体は可能です。キャラクターの切り替えは,地域マップに点在する「野営地(Campsite)」と呼ばれる,指定された場所でのみ可能です。
またアルファテストではキャラクターの切り替えは制限なく自由に行えますが,正式リリースでは,ほかのキャラクターとの関係が深まるにつれて,そのキャラクターが使用可能になるようなシステムを検討しています。
キャラクターを切り替えた場合,全体的なレベルとステージの進行は全キャラクターで共有されます。とはいえ,アビリティや装備はキャラクターごとに独立して成長するよう設計されているため,各キャラクターで独自の成長と装備の収集が必要となります。
4Gamer:
新要素の仲間NPCは,どういった存在なのでしょうか。プレイヤーと同じように動いてくれるNPCなのか,回復やバフのみをしてくれるアシスト特化型のどちらでしょう。
オ氏:
プレイアブルキャラクターの中から1人を選択し,仲間NPCとして召喚できます。仲間NPCは戦闘に直接参加し,サポートしてくれる存在です。現在のアルファテストでは彼らの役割は攻撃のアシストに限定されていますが,今後のアップデートでこのシステムを拡張し,仲間同士の関係性を探るコンテンツを予定しています。
関係が進展するにつれて,仲間の行動や戦闘での立ち回りも進化する可能性があります。具体的な詳細はまだお伝えできませんが,仲間NPCはストーリーとゲームプレイの両方において,重要な存在となるはずです。
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マルチプレイはオプションの位置づけ。シングルプレイメインで遊べるゲームに
4Gamer:
そのほかの新要素についても詳しく教えてください。「Village(村)」は冒険の途中に立ち寄れるポイントの1つなのでしょうか。それとも,プレイヤーの活動拠点になるような場所でしょうか。
オ氏:
プレイヤーの主な活動拠点となる場所です。序盤は「コルヘン街」が主な拠点となり,ストーリーが進むにつれてプレイヤーはほかの拠点へと移動していきます。とはいえ,拠点の変更は頻繁に起こるものではないです。
4Gamer:
マルチプレイのレイドについて,どういったコンテンツになるのかを教えてください。
オ氏:
「特殊依頼(Special Missions)」という,さらなる挑戦を求めるプレイヤーのための,高難度コンテンツがあります。これらの戦闘はソロプレイと4人協力プレイの両方に対応しており,プレイヤーは好みのスタイルを選べます。
このコンテンツはメインストーリーとはまったく別のもので,メインストーリーの進行に必要なものではありません。難度が高いため,戦闘スキルを極限まで高めたい方向けのオプション的なコンテンツです。
4Gamer:
シングルプレイ,マルチプレイの比重はどの程度を想定していますか。ゲームを進めるうえで,マルチプレイは必須になるのかを教えてください。
オ氏:
ゲーム内のすべてのコンテンツは,すべてシングルモードでプレイ可能です。一部のコンテンツでは追加機能として,オプションでマルチプレイに対応しています。つまり,マルチプレイは決して必須ではなく,ほかのプレイヤーと一緒に楽しみたいプレイヤーのために用意されたオプションという位置づけです。
4Gamer:
本作は,リリース後のコンテンツ追加なども含め,長期運営を想定したゲームになるのでしょうか。
オ氏:
正式リリース後もコンテンツの追加を続け,不完全と感じられる部分をさらに改善していく予定です。そうした追加コンテンツの方向性や範囲は,おそらくアルファテスト中にいただいたフィードバックを基に,検討していくことになると思います。
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4Gamer:
本作のリリース時期はいつごろを予定していますか。
オ氏:
リリースのタイミングは,リリース時にどの程度のコンテンツを盛り込むかで大きく変わります。今回のアルファテストでは原作のエピソード1から10までの一部である,エピソード1のストーリーを体験できますが,各エピソードの開発にはかなりの時間と労力が必要になります。
リリーススケジュールは,全エピソードを完成させてからリリースするのか,それとも一定数を完成させてからリリースするのかによって左右されます。最終的には当社のビジネス戦略によって判断されるため,まだ具体的なリリース時期についてはお伝えできません。
4Gamer:
最後にプレイヤーへのメッセージと,期待してほしいことについての紹介をお願いします。
オ氏:
数年前,原作「マビノギ英雄伝」のディレクターとして来日し,多くのプレイヤーと直接会う機会に恵まれました。そのときの思い出は,いまも私の心に深く刻まれています。長い時間がかかってしまいましたが,ようやく新しいタイトルを日本の皆さんにお届けできることになりました。
「マビノギ英雄伝」を楽しんでくださった方々には,新しい興奮とともに思い出が蘇ることを願っています。そして,本作で初めて触れる方々には喜びや驚き,そして探索しがいのある世界を感じていただけるような作品になるよう,全力を尽くしたいと思います。
「Vindictus: Defying Fate」公式サイト
- 関連タイトル:
Vindictus: Defying Fate
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