Alliance Artsが本日(2025年7月24日)リリースを予定しているPC向けタイトル
「大悪逆令嬢 ストラテジーオブリリィ」の
インプレッションをお届けする。
本作は「帝國」の公爵令嬢・
スカーレットと,隣国「共和国」の技官・
リリィの2人を主人公にしたターンベースのストラテジーゲームだ。プレイヤーはスカーレット率いる革命軍を操作し,ボクセルアートで描かれた大陸の制覇を目指すこととなる。
本稿では皇帝殺しの容疑をかけられたスカーレットの物語と,歯ごたえのあるゲームシステムを中心に,その魅力に迫っていこう。
※本稿の内容,および掲載しているスクリーンショットはベータ版のものです。製品版とは内容が異なる場合があります。
悪逆令嬢スカーレットの名のもとに,ミッドランドを平らげろ
物語は,本作の舞台であるミッドランド全土を治める「帝國」で幕を上げる。
皇太子・グウィンと公爵令嬢・スカーレットが婚約を発表するその日,皇帝は暗殺され,帝都が炎に包まれたのだ。
事件の容疑をかけられたスカーレットは,共和国の
「配信艦」から挑発的な声明を発表したのち,技官であるリリィを誘拐し逃亡。南部イリジアの地でレジスタンスを抱き込み,独立勢力
「スカーレット帝国」を立ち上げて,ミッドランド各地の軍勢と相対することになる。
キャラクターの初出時には,その設定がレポート風に説明される。本作の主人公であるスカーレットは,「悪逆令嬢」の名に恥じないキャラの濃さである
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帝都炎上のさなか,スカーレットと同行することとなった「共和国」の配信艦「ローズバッド」の艦長・リリィ。少々あざといツッコミ役の彼女が,物語の語り手となる
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本作の舞台であるミッドランドは,西ヨーロッパ程度の面積があるという。マップ表示範囲を広げると,いつでも「スカーレット帝国」の勢力圏が確認できる
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3つのフェイズで描かれるミッドランドの動乱
記事の冒頭でも述べたように,本作はミッドランド全土の制圧を目指すターン制のストラテジーゲームだ。ゲームは
アドベンチャーパートと
ストラテジーパートを繰り返しながら進行し,敵対勢力ごとに描かれる物語は,
「幕」と呼ばれる章立てで語られていくこととなる。
配信艦に乗り込み帝都を脱出するスカーレットとリリィ。ストーリー上重要なイベントはボイス付きのアドベンチャーパートで進行する
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スカーレットに憧れる衛生兵「カーマイン」との邂逅。短いかけあいは,マップ上に立ち絵を表示して行われる
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ストラテジーパートは
「配信艦フェイズ(後述)」→「敵軍フェイズ」→「自軍フェイズ」を1ターンとし,攻略の進度にあわせてアドベンチャーパートが適宜差し挟まれる形で進んでいく。
うち「敵軍フェイズ」と「自軍フェイズ」は,各陣営が部隊の移動と戦闘を行う,ストラテジーとしては至って標準的なものだ。
自勢力の制圧エリア内であれば,どの部隊も3マスまで移動でき,戦闘によって敵拠点を制圧したあとは,自軍部隊を一定ターン配置し続けることで,制圧エリアを広げていける。拠点に星マークで表示される耐久力が自陣の色となると制圧が完了し,隣接エリアへ攻め込めるようになるのだ。
一方で,凸型の拠点がある限り無限湧きする敵部隊に対し,味方部隊の数は限られている。それが1ターン2ターン先の戦況を考えながら一手を思い悩む,緊張感のある戦場を作り出している。
ちなみに一般的なストラテジーでは敵ユニットを示すことの多い
赤色が,本作では自軍の色となっている。悪逆主人公を謳う本作ならではのケレン味が感じられて,面白いポイントだ。
戦闘後に駐留できる部隊数は拠点によって異なる。駐留数1の拠点を楽々平らげたと思ったら,隣の要塞から大軍が押し寄せて取り返されるといったことも,まま起こりえるだろう
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マップ内の異なる拠点にいる部隊は,一度合流してからでないと一緒に攻撃を仕掛けられない。この画像の場合,画面左下の2部隊は中央右の(0/2)「グレイボルト」で一度合流したのち,画面左の(2/2)凸型拠点に進攻させれば,数的不利を解消できる
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隣接拠点同士が自軍の制圧下になり,本拠地から補給線がつながった拠点にいる部隊は,自軍フェイズ開始時に自動でHPが回復する。少し手番が増えても補給線を意識して進攻を行うと安定して攻略できる
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画面外の前線に兵力が集中する中,がら空きの味方本拠地(画面左上)に向けて敵の別働隊が進行してきた。補給線の維持はもちろん重要だが,前線が薄くなるのは避けなくてはならない。プレイヤーの立ち回りが試される
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戦闘はコマンド方式,3ターンで結果を出せ
部隊同士の戦闘は,
3ターン制のコマンド戦闘で解決される。
与えるダメージは部隊の
HP(兵力ポイント)が多いほど大きくなるが,スキルを繰り出すための
MP(名誉ポイント)は,戦闘中の行動によってチーム全体に蓄積する仕組みだ。序盤から畳みかけて敵を一掃するか,HPを温存しながらMPを溜め,大技に訴えるかは適切に判断する必要がある。
一方で,自らが攻撃側なら自軍フェイズでカタをつけたいところだが,逆に防衛側なら3ターンを耐えきれば次の自軍フェイズで補給で回復できる。前述の駐留可能な部隊数による縛りもあるので,戦闘ごとの目標設定が重要となる。
撤退したユニットは再出撃まで3ターンかかること,スカーレットかリリィが撤退した場合即座にゲームオーバーとなる点には,とくに注意しておく必要がある。
キャラクターごとに設定されたEXスキルは非常に強力だ。当然,発動コストは重いので,使いどころは見極めたい。スカーレットの「人中の紅」は攻撃力・防御力アップに加え,属性変更など盛りだくさんの強化効果がある
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リリィのEXスキル「オン・ザ・ステージ」は,確率で敵部隊をスタンさせる。強敵相手に活用したい。また後述の捕縛配信中に使用することで,敵将を捕縛する効果もあって,プレイ中,最もお世話になったスキルでもある
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部隊には兵科ごとに属性が設定されている。進行するメンバーを決めるときには,こちらも考慮する必要がある
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本作の戦闘には,自動戦闘にあたる「委任」が用意されている。戦力に余裕があるときに使うのが一般的だが,部隊の強さが戦闘結果に反映されるようで,強敵相手でもときおり撤退部隊なしで削りきれる場合もある。念のため,チェックしておくに越したことはない
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「配信」の力で不利な戦況をひっくり返せ
本作におけるスカーレット軍の戦闘は,そのすべてがミッドランド全土に
“配信”される……ことになっている。
これは配信を通して,スカーレットの支持者を拡大するのが目的だが,配信艦のエネルギー(最大値3)を用いて“特別な”番組を配信して,配信艦周囲の敵部隊の足止めや,味方部隊の移動力増加といった有利なマップ効果を発生させられる。
凸型の拠点がある限り部隊が無限に湧いてくる,圧倒的な物量の帝國軍を配信の力で翻弄し,局所的な有利を積み重ねるのが本作の醍醐味なのだ。
配信艦は勢力圏内を何度でも自由に移動できる。位置取りによっては,複数の拠点を番組の効果対象に含められるので,うまくハマる配信ポイントを探っていこう
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受像設備は「共和国」からの貸与品のため,帝國の皇太子といえども,おいそれと手は出せないのだ
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通常部隊との戦闘で,もっともお世話になるのがスカーレットによる足止め配信「Scarlet Palace TALK SHOW」だ。配信艦のエネルギーを1消費して,配信艦の周囲50平方kmの範囲の敵部隊を移動不能にできる。自軍部隊に隣接する強敵相手の時間稼ぎや,敵軍増援の遅延など使いどころはさまざまだ
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敵将を仲間にするのに必要な捕縛配信「LILY LIVE」。敵将の敗北の模様を帝國全土に中継し,降伏・投降を決定的にする。さらに臣民の鬱憤晴らしにもなるうえ,配信艦のエネルギー消費がない効率的な番組だ。リリィの悪辣さが垣間見える
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味方にした敵将が,新たな配信番組を担当することもある。帝國の高級士官だったジーナによる補給遮断配信「GEENA’S NEWS」は,エネルギーを1消費して虚実織り交ぜたニュースで周囲90平方kmの敵の補給を遮断。手番開始時のHP回復を妨害する
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アドベンチャーパートの一部や,シミュレーションパートでは視聴者の反応が表示されることも
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立ちはだかる総勢19人の敵将たち
本作に登場する敵将は,
捕縛を行うことで仲間に引き入れられる。
公式サイトの記事によれば,本作には総勢19人の敵将が登場するというが,筆者がプレイした範囲では,その多くが主人公に負けず劣らずの個性(アク)の強い人物であった。
なお,前述のとおり手数不足に悩まされる本作だけに,初回プレイではできるだけ多くの――できればすべての敵将を仲間にすることをオススメしたい。
ストラテジーフェイズで敵将を右クリックすると,詳細画面から自軍への加入条件を確認できる。うっかり条件を満たさず倒さないよう気をつけたい
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捕縛配信中にリリィのEXスキル「オン・ザ・ステージ」を使用すると敵将を捕縛できる。捕縛の前に加入条件を忘れずに確認しておこう
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相性の良いキャラクター同士は同チームで戦闘に勝利することで信頼度が上昇し,これによりイベント「絆の物語」が開放される。なお中盤までプレイした今回は確認できなかったが,信頼度の上昇でスキルを習得することもあるようだ
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ワイルドな第二皇子「キアラン」と世話焼きの副官「タイラー」の「絆の物語」。ストラテジーパートで切れた集中力を癒やしてくれる日常シーンだ
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捕縛配信を行わないで敵キャラクターを撃破すると,専用の会話が発生する。仲間にすると見られないのが悩ましい
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ストラテジーパートの難度は,かなり歯ごたえがある。ゲームオーバー時には見られるスカーレットとリリィの反省会「デッドエンド劇場」では,攻略のヒントももらえるので参考にしてみよう
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とにかくストーリーを追いたい人には,敵ユニットの性能を抑えた「イージーモード」も用意されている。なお,この難度設定は設定からいつでも変更可能だ
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本作には手動セーブのスロットが100,ターン開始時のオートセーブ用スロットが10用意されている。中盤以降,難度が上がってくるとそれでも足りなくなるくらいなので,上手に管理したいところだ。また幕の分かれ目ごとの幕セーブもあるので,手詰まりになったときは活用したい
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かなり歯ごたえがあり,まだまだ紹介しきれない要素が盛りだくさんの「大悪逆令嬢 ストラテジーオブリリィ」。筆者はかなりハマったクチなので,中盤以降もさらにやり込んでみたいと考えている。
なおSteamでは,本編の序幕・第壱幕までプレイ可能な
体験版も配信されているので,この記事で引っかかるところのあった読者は,この機会に体験版をダウンロードして,自分の目でプレイフィールを確かめてほしい。
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Alliance Artsは本日,2025年7月24日に発売予定の「大悪逆令嬢 ストラテジーオブリリィ」の新たな体験版の配信をSteamで開始した。今回の体験版では,序幕と第壱幕をプレイでき,序盤のストーリーや緊張感のあるターン制ストラテジーを体験できる。チュートリアルや一部シーンなども追加された。
[2025/07/17 16:12]