thatgamecompanyの
「Sky 星を紡ぐ子どもたち」 (
PS5 /
PS4 /
Switch /
iOS /
Android /
PC )のオフラインイベント
「Sky ArtFest(スカイアートフェス)」 が,二子玉川ライズ スタジオ&ホールで2025年11月29日と30日に開催された。
「ファンと共に創り上げるアートの祭典」 を謳うこのイベントは,“星の子ども”(本作のファンの呼称)たちが作り上げたファンアートを展示・配布・販売することを主眼としたもの。即売会場となった
「Fan Art Market」 を中心に,ステージではライブパフォーマンスやトークショーなども行われ,多くの来場者で賑わいを見せていた。本稿では,そのレポートをお届けする。
会場となった二子玉川ライズ スタジオ&ホール。両日とも盛況で,入場が入れ替え制になったほどだ
開発陣が語る,コンセプトアートができるまで
会場でいちばん広いスペースを取っていたのが,前述の
「Fan Art Market」 だ。各日共に41サークルが会場に軒を連ね,同人誌やポストカード,またフィギュアやぬいぐるみ,アクセサリーといった立体物の展示と頒布を行っていた。
「Fan Art Market」の会場は,終日に熱気に包まれていた
出展されていた作品群。同人誌から立体物までジャンルもさまざまで,見るだけでなく購入も可能だった
会場内に設けられたステージでは,開発陣によるトークイベントなど,さまざまなパフォーマンスが開催。筆者が訪れた30日には,事前に行われた募集に当選した有志らによるライブやダンスなどのパフォーマンス,ゲーム内で開催されるレース大会「SKY AIR RACE」の中継などが行われ,来場者を楽しませていた。
ファンアートイベント「Sky ArtFest」11月30日 ステージプログラム配信
有志の演奏グループ「持ち寄り楽器で楽譜演奏♫」は,作中の楽曲のライブ演奏を披露
こちらは配信者のLilianさんによるダンスパフォーマンス
“エアレ”の猛者たちが集った「SKY AIR RACE ArtFest杯」
開発陣によるトークイベントでは,本作のビジュアルデベロップメントリードを務める
田邊裕一朗氏 と,コンセプトアーティストの
アッシュ・コード氏 が登壇し,イベントのテーマにピッタリな開発の裏話と,ライブドローイングを披露した。
田邊裕一朗氏(左)とアシュリー・コード氏(右)。コード氏は元々「Sky」のいちプレイヤーだったが,ファンアートをXに投稿していところ,開発者の目に留まり,スカウトされたという
両者が語ったのは,本作のコンセプトアートが生み出されていく,その過程についてだ。スクリーンにはその手順が順に映し出され,都度説明を付け加えながら進行していった。
最初に示された抽象的な線だけの画は,プレイヤーにどんな体験をしてもらうかを決めるためのものだという。シーズンをどういった体験をもたらすかを検討し,ストーリーやゲームプレイのアイデアなどをゲームデザイナーと共有することを目的にしているという。
ゲームデザインを検討するための抽象的な画。イラストというよりも図というべきかもしれない
骨組となるゲームデザインが形になれば,次は田邊氏らビジュアルデベロップメントチームの出番だ。共有された体験を実際に遊べるように実装し,シーズンにおける物語や雰囲気,感情といったものを肉付けしていく。こうして抽象的だったものを少しずつ具体化し,ビジュアルに落とし込んでいくとのことである。
本格的にデザインがスタート。抽象的だったものが具体化されていく
コード氏は,デザインにおいてリサーチを重視しているそうで,何を描くときも必ず調べてからデザインに落とし込んでいくという。これは実在のものと関連付けることで,信憑性や親近感が生まれるからだとか。
現実のものを徹底的にリサーチし,デザインへと落とし込んでいく
これまであまり披露されたことがない,開発中のデザインなども公開された。
コード氏らのチームが手がけるのは,プレイヤーがそのシーズンに訪れる「空間」と,登場する人物などの「キャラクター」だ。前者はレベルデザインにも密接に関わるもので,描いたものが採用され,実装に至ることもあるとのこと。
水面が天上に反射している右下のイラストも,エフェクトとしてゲーム内に反映されたそうだ
背景に設置される大小のオブジェクトも,コード氏らの仕事である
後者のキャラクターでは,彼らが“キャラクターラインナップ”と呼ぶイメージイラストがとくに重要だという。この中に,そのシーズンに登場する要素を可能な限り詰め込んで共有することが,開発をスムーズに進める秘訣とのことだった。
こちらがキャラクターラインナップ。シーズンを象徴するイラストだという
キャラクターが身に着ける衣装やアクセサリーも,細かくデザインしていく
ひととおりの解説のあとは,2人によるライブドローイングが行われた。
田邊氏が客席にリクエストを聞くと,
「イケメン」「マナティ」「見習い」「アフロ」 といった声が上がり,手持ちのPCで田邊氏がキャラクターを,コード氏が背景をその場で描いていく。
完成したのは,太い三つ編みと暗黒竜の飾りが付いた帽子が特徴的な海賊たちで,リアルタイムでイラストが完成していくその様子は,ファンアートを描く今回のイベントの参加者たちにとっても,大いに参考になるステージだったのではないだろうか。
会場からのリクエストに応えつつ,ステージ上で着色まで完成させた田邊氏
コード氏による背景画も,あっという間に完成した
なお時間の都合でステージ上では披露されなかったが,2人が描いたものを合わせた完成形が,公式X上で
「Sky ArtFestの季節」 というタイトルで公開となっている。まだ見ていない人は,こちらもチェックしておこう。
合作のイラストを完成させた2人
thatgamecompanyのリード・オーディオ・デザイナー兼ジャパン・ブランド・リードの
水谷 立氏 によれば,今回のイベントは“ゲームをアートとして見せる”という本作の理念に共感してくれる人が多くいてくれたことを契機に,彼らの交流のための場として企画したものだという。
実際,事前の募集では予定していた枠の3倍ほどの応募があったそうで,その熱量はかなりのものだろう。予想以上の来場があったことで,会場内の混雑や待機時間が長くなってしまったことは反省点としながらも,今後もこうしたイベントは積極的に行っていきたいと氏は話していた。
会場には,現実空間に星の子どもが降り立つAR体験コーナーも用意されていた
こちらは来場者によるイラストを掲示するコーナー
会場では,星の子どもの着ぐるみのお出迎えも