
インタビュー
[インタビュー]「ジージェネエターナル」の大・快進撃。“ここまで”とは思ってなかった反響と,半周年の話を小島省吾氏に聞く
もちろん世間的にスマッシュヒットするとは思っていた。けれど,世界的にホームランをぶっ放すとは想像もしていなかった。我々が付き合ってきたジージェネとはなんとなく,そういうものだったからだ。
しかし時代は変革していた。これが,重力の井戸の底にへばりついていた者が,ニュータイプにサイキッカーにコーディネーターにイノベイターにXラウンダーにと出会ったときの感情なのかもしれない。
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バンダイナムコエンターテインメントの春の新作スマホゲーム「SDガンダム ジージェネレーション エターナル」(iOS / Android。以下,ジージェネエターナル)は,2025年4月16日のリリースから数か月。過酷なアプリストア戦場のランキングで,最上位のホルダーで居続けた。
そして先日,ジージェネエターナルの運営より,10月のハーフアニバーサリー情報を理由に,インタビューを打診された。ちょうどよかった。ここ数か月はアプリを週平均で数十回と起動させられていた身だ。自宅に鎮座するMETAL BUILDと共に,この瞬間を待っていたんだ。
今回はプロデューサーの小島省吾氏に,これまでの快進撃と,ここまでの現状。ときおり個人的な感想や疑問や不満をはさませてもらいつつ,これからの展開について話を聞かせてもらった。
※なお,インタビュー実施日は「7月28日」。当時はマスターリーグ シーズン2,ジェネレーションタワー,ナイトガンダムイベントが未実施の時期。そのため,いくつかの話は7月当時の所感とみてほしい
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「SDガンダム ジージェネレーション エターナル」公式サイト
「SDガンダム ジージェネレーション エターナル」ダウンロードページ
「SDガンダム ジージェネレーション エターナル」ダウンロードページ
遊べるガンダム大図鑑
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。4Gamerでは初めてのインタビューとなりますので,まずは簡単に自己紹介からお願いできますか。
小島省吾氏(以下,小島氏):
バンダイナムコエンターテインメントの小島省吾と申します。
現在は「SDガンダム ジージェネレーション エターナル」のプロデューサーとして運営面を取り仕切り,今後どの作品やどのユニットを追加するか,またイベントの企画や,プレイヤーの皆さんにいただいた意見などを開発チームと一緒に査収し,採択する立場を担っています。
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4Gamer:
最初に,ジージェネエターナルはとんでもない反響を得たかと思います。そのうえで,ここまでの手応えはいかがでしょう。
小島氏:
もう手応えを超えてましたね。
想像以上に皆さんに注目していただけたことに,本当に,開発一同,語彙力がなくて申し訳ありませんが,驚きとうれしさでいっぱいです。
4Gamer:
予想外の成果だったと?
小島氏:
もちろん「ジージェネには多くのファンの皆さんがいらっしゃるので,これくらいは遊んでもらえるだろう」といった期待値はありました。
けれども,本当にそうした想定を飛び越えて,サービス開始直後からものすごい勢いで遊んでいただけて,とにかくビックリでした。
4Gamer:
大変失礼な話,私も「ジージェネがここまで世界的人気に……?」と思っていました。個人的にも当初の期待値を軽く飛び越えたため,アンケートでは毎回,暑苦しい意見を送っております。
小島氏:
ありがとうございます(笑)。
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4Gamer:
分析は難しそうですが,成功につながった要因は挙げられますか。
小島氏:
要因としては,最初の発表からリリースまでお時間をいただいてしまった代わりに,皆さんに直接遊んでいただいたテストで出た意見をもとに,しっかりと遊べる内容に仕立てられたからだと考えています。
また,「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)」などのガンダムIPの盛り上がりにうまく乗れたからだろう,というのもあります。
4Gamer:
リリース前のころ,言葉が悪いのですが,個人的にはどうしても期待値が低めでした。スマホでジージェネか,という気持ちが払拭できず。
小島氏:
そうですよね。そう思われる覚悟はしていました。
4Gamer:
でも,やってみたら「あれ? 思ったよりもジージェネだ」と思えた。そう思わせるための作りは,計画通りにいきましたか。
小島氏:
はい。ジージェネの名を冠するスマホゲームは過去にも提供していましたが,今回は往年のファンが求める“ジージェネらしいシミュレーションゲーム”にしようと,気合を入れて開発していました。
もし,皆さんにも納得してもらえているようなら一安心です。
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4Gamer:
成果でいうと,グローバル市場の反響もすごいですよね。
小島氏:
全世界で非常に多くの方々に遊んでいただけております。とくにアジア圏の熱量が高くて,僕らとしてもビックリでした。
4Gamer:
例えば先日(※あらためて,インタビュー実施日は7月28日),30周年記念映像が公開された「新機動戦記ガンダムW」は,アメリカやフランスでとても人気だと知られています。
また,2000年代からはアジア圏を中心にガンダムIPの認知度が高まっているとも言われていますが,ガンダムIPの一端に携わる身として,「近年の海外でのガンダム人気」はどう見ていましたか。
小島氏:
それでいうと,バンダイナムコグループとしても近年,ガンダムIPの海外展開をさらに広げていこうとしているタイミングにあります。
そして直近の動向だと,アニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」が台湾をはじめ,インドネシアやタイなどの東南アジア諸国で非常に人気になり,ガンダムがさらに浸透していっているそうです。
4Gamer:
そこはアニメの配信サービスの影響ですかね。
小島氏:
そうだと思います。さらにアニメ人気からガンプラ人気も生まれて,海外でもガンプラ需要がとても高まっていますね。
4Gamer:
そうした海外ファンの主な年齢層は,たぶん10代や20代ですよね?
小島氏:
おそらくそうです。
4Gamer:
一昔前は「ガンダムという長大なIPに途中から触れる人」の気持ちが分からなかったのですが,最近ふと腑に落ちまして。
というのも私自身,幼少期に「機動戦士ガンダムF91」と出会い,ナイトに武者にコマンドのSDガンダムを楽しみ,ジージェネで学んだ世代だったので,そういう方々ともなんら違いがないんですよね。
SEEDや00,鉄血や水星から入った人も,ガンダムデスサイズヘルに心を奪われたフランス人も。導入が違っても,日本でも海外でも何歳でも,ガンダムに惹かれたらみんな同じ歩みになるんだなって。
小島氏:
僕と世代が近そうです(笑)。
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4Gamer:
では話をゲームに戻して。
本作は当初から,近年のガンダムゲームのフラッグシップタイトル的な位置づけで,送り出すことを決めていたのでしょうか。
小島氏:
そこを目指しながら,ジージェネの魅力の根幹は作品数・機体数にあるので,初期実装の段階でかなりがんばったのは確かです。
4Gamer:
また本作は配信以降,不具合修正をはじめ,SP化をしやすくする改修なども機敏に対応し,新情報のたびにファンの期待も高めていました。予想外の海外石もたんまりでしたし(一部海外地域でのセールスを記念した配布ダイヤ),最上位レアユニットの限界突破素材が,リリース直後から人によっては1個や2個と手に入るゲームも珍しい。
言ってしまえば,かなり温かめの運営スタイルですよね?
小島氏:
温かい運営,というと受け取られ方が人それぞれかと思いますが,少なくとも僕らはこれまで,本作を「遊べるガンダム大図鑑」と定義してきました。もちろん会社として売り上げも求められますが,それ以上に“ジージェネでガンダムに触れてもらいたい”と思っていたので,すべてはそこを起点にして運営しています。
ですので,皆さんに結果的にそう受け取ってもらえているようなら,うれしい限りです。
4Gamer:
運営スタイルは「毎月2回の大きな更新」でこのまま続けますか。
小島氏:
はい。この約3か月で体験いただいたサイクルをベースにして,遊びを提供できればと考えております。
現状,皆さんは個々の好きな作品を待ちわびているはずなので,「早くお届けできるように!」と必死になっているところです。
自由に遊んでもらうために
4Gamer:
お次はメインステージについて。まず,ジージェネは人によって遊び方が違うんだと,今回あらためて気付かされました。
一例としては,「SDガンダム GGENERATION-ZERO」までのように時系列順で進めたい人や,それ以降の「SDガンダム ジージェネレーション クロスレイズ」でできるような好きな作品から遊ぶ人がいる。
さらには好きな機体を集めてからストーリーを進める人。原作キャラクターだけで遊ぶ人。ジージェネのオリジナルキャラクターだけで攻略したい人など,遊び方は多岐にわたっています。
まず,そうした遊ばれ方は事前に想定していたのでしょうか。
小島氏:
おっしゃるとおり,それらの遊び方はどれもジージェネの魅力として捉えております。
ただ,本作ではそうした遊ばれ方を個々に思案したというよりも,今言ってもらったようなニーズに,できる限りの広い間口で答えられるような作りを目指す,というテーマを据えていました。
そのうえで,今回は難度調整的にも,作品順で追っていただくような構造にしています。これはゲーム全体の体験として,より多くの人たちに楽しんでもらいやすいものを目指した結果です。
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4Gamer:
ストーリーについては,どのように見せようと考えましたか。
小島氏:
シナリオの見せ方にはとても悩みました。
まず,従来作品では「マップ上でやり取りさせる構図」が基本で,本作でも当初はその表現を試みました。しかし,テレビ画面とスマホ画面ではサイズが違いすぎて,やはりいろんなものが小さく見えてしまうんですよね。一応,MS(モビルスーツ)をアップで見せる,ムービーを適宜入れるなども試しましたが,結果はイマイチでして。
最終的に,原作のアニメシーンで表現することに落ち着きました。
4Gamer:
その見せ方には,なにか感想をもらいましたか。
小島氏:
リリース時は,従来の見せ方と大きく違うことに「これで受け入れてもらえるだろうか……」と不安がありましたが,いざフタを開けると「実際のアニメのシーンなので分かりやすい」と言ってもらえましたね。
4Gamer:
ストーリー関連だと,やはり一番話題になったのは「機動戦士ガンダムSEED Recollection」の提供かと思います。
誰もが,まさかあんな形で新作アニメを目にするとは思ってもみませんでしたが,あれは企画時から構想していたのでしょうか。
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小島氏:
いや,プロジェクト初期のころは影も形もいっさいありませんでした。開発中,SEED関連の展開がいろいろと予定されていたなかで,我々でもなにかできないかと考えて,関係各所にご協力いただいたものです。
4Gamer:
となると,ああした新作アニメは今後も出すスタンスではない?
小島氏:
まず,ジージェネエターナルとしては先にお話しした「遊べるガンダム大図鑑」として,まだまだ参戦できていない作品がありますので,そちらを最優先にしております。
ただ,SEED Recollectionで大変好評をいただけたので,気持ちとしては検討もしていきたいのですが,本当になにも決まっておりません!
4Gamer:
開発陣とファンが同じ気持ちで抱える,願望みたいな?
小島氏:
そうです。願望です(笑)。
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4Gamer:
ゲーム部分だと,シミュレーションバトルもなかなかちゃんとジージェネだと思わされましたが,狙い通りに作れましたか。
小島氏:
そこもやはり,ジージェネエターナルを開発するうえで,従来作品のなくしてはならない部分と,泣く泣く省略するしかない部分との兼ね合いがありました。個人的には不安でしたし,事実「もっと家庭用版の遊びに寄せてほしい」というお声もいただいています。
ただ,開発チーム一同としては手軽に遊ぶためのスマホゲームとしての最適化を常に調整させて頂いておりまして,結果的に皆さんからご好評いただけているのかなと思っております。
4Gamer:
シミュレーションゲームって真面目に向き合うと,マスがあり,ユニットの動きがあり,攻撃側と防御側が生まれる。このシンプル構造にどう味付けしようか考えると,難しいですもんね。
小島氏:
そうなんですよね。
それでも,今のベストは狙えた気がします。
4Gamer:
一方です。バトル自体はほどよい難度曲線で,多くの人は難しすぎるとまで感じなさそうですが,「機動戦士ガンダムZZ」あたりから別の問題が表面化している気がします。主に「開発素材」ですね。
ZZあたりからユニットの開発素材の要求数が増え,シナリオ攻略をしながら原作ユニットの開発,つまりは「シリーズ部隊」の構築が困難になりました。さらに直近のストーリー「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」や「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」までいくと,HARDステージの攻略を数度やっても,SSRユニットは確保しづらい環境です。
もちろん,「ジェガンやザクウォーリアなどの低レア機体をLV100で運用する」のはできますが,果たしてやる人は多いのか。
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小島氏:
はい。そこは我々も認識しています。そのあたりのバランスは現状,すべてを合致できていないことを申し訳なく思いますが,いずれも「開発機体だけでも遊べる難易度」は心がけています。
4Gamer:
結果として,少なくない数の人は「たまたま持ってるURを1機か2機かシリーズ部隊に入れて,あとはフリー部隊だけで戦う」というプレイになる気がしています。私も開発素材のバランスが今後も同じようになるなら,シリーズ部隊という枠自体をもう使わなそうでして。
バランス的に悩ましいかと思いますが,このあたりのお考えは?
小島氏:
確かに,ZZ以降は皆さんもフリー部隊が成長してきて,1部隊だけで攻略可能な人も増えているかと思います。
ただ,シナリオ部隊は原作を追体験していただくための縛りとして,いわゆる“ごっこ遊び的”な意味合いで入れたものです。まさに,先ほど言っていた遊ばれ方の幅を増やすためにですね。
ステージの攻略難度はこれらも踏まえていますし,そこはまた皆さんの楽しみ方で遊んでいただければと思っています。もちろん,開発素材への意見はいただいていますので,今後の参考にしていきます。
4Gamer:
などと言っておいてなんですが,別に悪くはないんです。フリー部隊だけになったところでおもしろさが損なわれるわけではなく,「自分の好きな強機体でステージを蹂躙」ってジージェネらしいというか,圧勝することで得られる楽しさがあるというか。むしろジージェネファンの欲求と,スマホゲームに求められる手軽さは合致しているかなって。
シリーズ部隊を使わないこともまた,遊び方の1つなわけですよね?
小島氏:
ええ。こちらからは「そうしてください」とは言いませんし,2部隊の活用方法もまた今後も課題としていますが,いずれにせよ,すべてのシステムが攻略に必須とはしていません。例えばフリー部隊でも「ビグザム5体で攻略したい」といった人がいますしね。
どの枠もシステムも,あくまで好きに,自由に遊んでもらうための枠ですので。それが今の形にした理由と言えます。
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4Gamer:
メインステージは現状,「宇宙世紀シリーズはシナリオを一括提供」,SEEDやWの例外はありつつも「オルタナティブは前後半の分割提供」のように見えていますが,今後も同じ出し方になりますか。
小島氏:
いえ,そこはそういう決まりはなく,今までは「初期実装のボリューム的に,こうしていただけ」ですね。
直近の例だと,逆襲のシャアであれば,1回の実装ですべて。SEED DESTINYはバランス面も鑑みて分割という形で,その都度ゲームのバランスとも合わせて,追加させていただいております。
4Gamer:
つまり,作品ごとの対応に?
小島氏:
そのとおりです。映画だから一括,テレビシリーズだから分割とは考えていないので,作品ごとの対応と思ってください。
ただし,皆さんからは「Xや鉄血の後半ステージはまだか」という声をいただいているので,早くがんばらないとですね……!
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- カメラマン:永山 亘

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