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印刷2025/08/05 12:10

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「Roblox」は,開発環境もUGC。独特な開発環境や手法が語られたセッションをレポート[CEDEC 2025]

 ゲーム開発者会議「CEDEC 2025」で,NeXtreme Studioの代表を務める丹治慶太氏のセッション「『Roblox』の開発環境とその効率化 〜DAU9700万人超の巨大プラットフォームの開発 事始め〜」が行われた。

 子供から大人までの幅広い層がゲーム作りやプレイを楽しみ,利用者数としては月間3.8億人にもなるプラットフォーム「Roblox」向けのゲーム開発が語られた講演の模様をレポートしよう。

丹治慶太氏
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 丹治氏はスクウェア・エニックスで「ファイナルファンタジーXIV」「ファイナルファンタジーXVI」などの開発に参加したのち,2022年末にRoblox向けの開発を始め,翌2023年に独立した。自身の会社であるNeXtreme Studioは,「たまごっちパーティー」や「ゲームクリエイタータイクーン」などのRoblox向けコンテンツをリリースしている。

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 そんな丹治氏は,Robloxを「UGCゲームプラットフォーム」と説明した。UGCとは,User Generated Contents(ユーザー生成コンテンツ)の略で,Robloxはユーザーが作ったゲームを遊ぶ場所となっている。“ゲーム版YouTube”と表現されることもあるようだ。

 そのため,アップされているゲームはローグラフィックスかつ基本プレイ無料のものが主流で,スマホでプレイする低年齢のユーザーが多い。コミュニティが活発なのも特徴で,ユーザーの要望を受けて週1ペースでアップデートしていくゲームも珍しくないそうだ。

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 講演名にもある通り,1日のユーザー数は9780万人,月間では3.8億人にもなるのだが,講演の発表当初の副題は「DAU8500万人超の〜」だったのだから,その急成長ぶりが窺える。6月には「Grow a Garden」というゲームの同時接続数が2100万を突破し,その時のRoblox全体では3300万を記録した。

 開発者にとってのRobloxの魅力として,丹治氏は「完成させたゲームを審査なしでリリースできる」「ネットワーク・サーバー費ゼロ」「マルチプラットフォームにも対応しやすい」などを挙げ,開発用ソフトである「Roblox Studio」の自由度の高さや,開発者コミュニティの充実ぶりも紹介した。

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 ビジネス面でもRobloxの魅力は多々ある。Z世代(1990年代後半から2010年代序盤生まれ)やα世代(2010年以降生まれ)にリーチしやすい,広告やアイテム配布といった施策を打てる,プレイヤーが離脱した場所なども把握できて改善もしやすい,といった具合だ。収益の手段もアイテム販売やサブスクなどさまざまで,5月にはネットショップ「Shopify」との連携によって,ゲーム内で実際の商品を販売することも可能になった。

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 そんなRobloxの対抗馬として最近注目されているのが,Epic Gamesが手がける「Unreal Editor for Fortnite」(以下,UEFN)だ。こちらはその名前の通り,「フォートナイト」向けのゲームを制作・公開できるツールとなっている。

 丹治氏はこの2つを比較し,UEFNのメリットとして「リッチなグラフィックス表現」「フォートナイトベースのため,FPSやTPSが作りやすい」「Nitnendo Switch向けのリリースが可能」などを挙げた。Robloxには開発環境におけるハードルの低さや,モバイル向けのリリースができるなどの点で優位性があるが,低年齢層のユーザーが多いSwitchに非対応となっているところに,もどかしさを感じることもあるようだ。

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 そんなRoblox向けのゲームを作るには,オールインワン開発環境の「Roblox Studio」を使用する。これはサーバー・クライアント一体型プロジェクトとでも呼ぶべきもので,一般的なゲーム開発環境とは大きく異なるが,丹治氏によると「やってみると理にかなっている」そうだ。

 下のスライドにはツリーが表示されているが,ここにはサーバーやクライアントを問わず,ゲームの中にある要素のすべてが入ることになり,その配置もユーザーの自由だという。通常はサーバーのプロセスとクライアントのプロセスで分けられることが多いが,Roblox Studioではすべて同じ場所で管理されるわけだ。

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 丹治氏はこの仕様を「ルール無用でなんでもあり」と表現したが,それだけに,ほかの開発ツールを触っていない初心者には分かりやすいという。もちろん,規模が大きくなるほどにカオス化していくので,開発の経験を積みながら管理の方法も学んでいく必要はあるとのことだ。

 Roblox Studioの特徴としては,開発中のデータをバイナリー形式でサーバーに一括保存する「クラウド保存型」であることも挙げられる。定期的に自動保存が走り,バージョン管理もされるので,「勝手にバックアップが積み重なっていく」ような感覚で開発できるそうだ。

 アセットも含めてクラウドに保存されるので,ローカルストレージを圧迫せず,いつでもどこでもプロジェクトを開けるメリットもある。その一方で,例えばスクリプトファイルをローカルのエディタで開くようなことはできない。慣れている人にとってはそこが辛くなるため,外部エディタとの連携を実現するプラグインがリリースされている(詳細は後述)。

Roblox Studioの「ツールボックス」には,ユーザーが作ったアセットなどが並んでおり,ここからドラッグしてゲーム内に配置できる。「ストアでの購入手続きの後にダウンロードして……」といった手間は不要だ
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 Roblox開発の特徴に続いて,これから実際に開発を始める人に向けた,実践的な開発のポイントが紹介された。

●Roblox Studioの機能
 Roblox Studioに用意されている機能の中でも,特に役立つものが紹介された。

 モデル変更を一括で共有できる「Package機能」はそれだけでも便利だが,変更を加えた場所をAIが判断して説明文を付けてくれるため,バージョンごとの違いを把握しやすくなる。

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 プラグインにもさまざまなものが用意されており,ユーザーインタフェースのサイズ調整をしやすくする「AutoScaleLite」,Roblox Studioに搭載されてないカットシーン編集を可能にする「Moon Animator 2」など,さまざまなものを利用できる。望むものがなければ,自分(またはAI)で作ることも可能だ。

●Roblox StudioのAI機能
 Roblox Studioでは,AIによって「マテリアル」「3Dモデル」「テクスチャ」のアセット生成もできる。だが,丹治氏によると,まだまだ発展途上で実用は難しいとのこと。プロトタイプ制作などでは役立ちそうだ。

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 AIを使ったものとしては「アシスタント機能」もあり,Robloxについての質問に答えてくれたり,スクリプトの追加や編集などをしてくれたりする。開発しているゲームのツリーを理解したうえでの作業となるため,かなり強力なサポートになるそうだ。

●ライブラリの活用
 ここで言うライブラリとは,コードモジュールの集合体。コミュニティでの開発が活発に行われ,さまざまなものが公開されている。これをうまく使えば,自分でコードを書かなくて済むうえ,共通機能を再実装する手間も省ける。

 非常に便利なので,丹治氏は,欲しい機能が浮かんだらまずライブラリを探してみることを勧めていた。だがその一方で,「ライブラリコレクターになっても使い切れない」と,依存しすぎないことも大事だと話した。

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●効率的コーディング
 「Robloxは固有の特徴を持つ開発環境であり,紹介するスタイルが最適とは限りません」という前置きののち,共通する処理のモジュール化や,オブジェクト指向,コンポーネント指向といったプログラミングを実装する手法が紹介された。

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●クラウドAPIの活用
 丹治氏が「これ,いいですよ」と紹介したのは,RobloxのデータにWebアプリからアクセスできるサービス「Open Cloud API」だ。ブラウザからスクリプトを編集することも可能で,講演では,Googleスプレッドシート上の操作で,ゲーム内のデータを差し替える様子が披露された。こういった形で活用すれば,エンジニア以外の人でもデータを触れて,作業の効率化が図れるとのことだ。

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●外部エディタの活用
 前述したように,Roblox Studioでは外部エディタを利用することはできないが,双方にプラグインを入れることで可能になる。Roblox向けの開発で外部エディタを利用する人は急速に増えているそうで,その理由は外部エディタで利用できるAIサポートとのこと。
 また,広く使われているバージョン管理システム「Git」の利用も可能になるとのことで,外部エディタそのものに留まらず,その先にあるものも見据えた導入となっているようだ。

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●効率的コード管理
 Roblox向けの開発は短期間になることが多く,複数のプロジェクトの開発が並行して走ることも珍しくないという。そのため,「あの機能はどこで作ったんだっけ?」「この前作ったあの機能をこっちでも使いたい」となるケースが多いそうだ。

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 そんな状況に対応するため,モジュール単位で必要な機能を導入する,プロジェクトをまたいでパッケージ機能による共有をする,共通で利用できるシステム層と,それぞれのゲームとなるアプリ層に分けて管理するといった手法が紹介された。

●外部AIの利用
 丹治氏は「AIエージェントの進化がすさまじ過ぎて,これから話す情報も一過性のものでしかない」と前置きしながら説明を始めた。

 現在,開発で利用されるコーディングAIは,「Github Copilot」や「Cursor」といった“コード補助+自立処理型”と,「Claude Code」「Gemini CLI」などの“自立タスク処理特化型”に大別できるという。ざっくり説明すると,前者はあくまで補完がメインのサポート役だが,後者はクライアント上でタスクを依頼する形になる。

 丹治氏は,「お互い侵食している気もする」としつつも,コードの補完機能が強力なため,“コード補助+自立処理型”を勧めるとした。“自立タスク処理特化型”はさまざまなことを任せられる点では便利だが,それだけに「いい感じに使いこなす」ことが難しいと感じているそうだ。

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 丹治氏は最後に,Robloxの開発効率化について,「効率化できることを探し,無駄を省く」「新しい技術をキャッチアップし試行・活用していみる」といった意識こそが大事だと話し,「Robloxは,開発環境もUGCと言えるほどの自由度と拡張性を持っている,可能性だらけの環境です」と,聴講者に向けて呼びかけてセッションをまとめた。

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