
インタビュー
「ROG Xbox ALLY」のカスタム版Windows 11を,他のPCメーカーに提供する可能性は? Xbox担当VPに聞いてみた[TGS2025]
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下位モデルのROG Xbox ALLYが,10万円を切る税込8万9800円,上位モデルの「ROG Xbox ALLY X」でも税込13万9800円という価格を耳にして,驚いた人も少なくないだろう。
ハイエンドの携帯型ゲームPCは,実勢価格がかなり上がっているので,それと同等のスペックを有する製品としては割安だ。
携帯型ゲームPC「ROG Xbox ALLY」シリーズが10月16日に発売。Ryzen Z2&最適化されたWindows 11を採用する

2025年9月26日,ASUSは,携帯型ゲームPC「ROG Xbox ALLY」と「ROG Xbox ALLY X」を10月16日に国内発売すると発表した。税込の想定売価は,順に8万9800円,13万9800円となっている。
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そこで本稿では,発表記事などでは触れられていない情報を中心に,インタビューの様子をお届けしよう。
2025年9月29日13時頃追記:初出時,Jason Ronald氏のお名前を間違えておりました。訂正してお詫びいたします。
――ROG Xbox ALLYシリーズに搭載しているカスタム版Windows 11を,ほかのPCベンダーに提供したり,あるいは一般消費者に提供して,自分のゲームPCにインストールできるようにする計画はありますか。
Jason Ronald(以下,Ronald)氏:
私たちは,今回のカスタム版Windowsにおける改善,取り組みというのは,Windowsエコシステム全体にメリットがあると思っています。
そのため,カスタム版として特定のお客様に提供するようなものではなく,今後のWindows 11のアップデートで,機能強化の一部として,皆様全員に提供するものになります。
――Xbox Series X|Sに対して,このカスタム版Windows 11を提供する計画はありますか。
もし,それが可能になれば,Xbox Series X|Sでプレイ可能なゲームが増えることになるので,ゲーマーとしてはハッピーなのですが。
Ronald氏:
私たちは理念として,プレイヤーが持っているゲームは,どの端末でもプレイできるようにすべきだと考えております。
今回の最適化されたWindows 11も,Xbox Series X|Sに寄せられた皆様のご意見や,我々の学びが反映されたものです。だからこそ,今後それをWindowsにも取り込んでいこうとしているわけです。
(※編注:質問の意図がうまく伝わっていなかったかもしれないが,端的に言えば,そういう計画はないとのこと)
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――今後,Windowsもアップデートされるとのことですが,それによって,他社の携帯型ゲームPCでも,ゲームの実行性能が良くなる可能性があるということなんでしょうか。
Ronald氏:
まさに,私たちはそれを目指していて,決してROG Xbox ALLYだけのゲーム体験を改善しようとして,この最適化版Windowsを作ってるわけではないのですね。
それは,ラップトップPCでもデスクトップPCでも,ほかのハンドヘルドデバイスでも同じです。Windowsから来る性能への影響を最低限に抑えて,その分のリソースをゲームプレイに回すのは,全員にとってのメリットです。
ただそれは,この先のロードマップにある話です。まずは,このROG Xbox ALLYで最適化したものを皆様にお使いいただいて,いろんな意見をお聞かせいただいて,それをこれからWindowsに反映していこうと考えています。
――それでは,(開発中の機能である)「Advanced Shader Delivery」※も,ほかのデスクトップPCやラップトップPCのWindowsでも実現していくということでしょうか。
(※編注:PCゲームで付き物の,ゲームの初回起動時にシェーダプログラムの準備に時間がかかる現象を回避すべく,あらかじめ用意しておいたシェーダプログラムをROG Xbox ALLYにダウンロードする機能のこと)
Ronald氏:
そういったことをやりたいのですが,まずは,いろいろな結果を見て,フィードバックをいただいてから,と思っています。
だからこそ,まずはROG Xbox ALLYでやってみる。それがうまくいけば,それをどうすればほかのGPUでも使えるようにするかを,検討していくと。
やはりゲームコンソールから得られる学びというのは,シェーダコンパイラ関連はたくさんあります。私たちは,コンソールで学んだ知見をPCに生かそうとして取り組んでいます。
――Day 1(※発売日)以降のアップデートも継続していくというお話ですが,具体的なプランがあれば,教えていただけますか。どういった機能,サービスが実現可能なのでしょうか。
Ronald氏:
すぐに提供できるものもありますし,来年の春先になるものもあります。
すでに公表済みの追加機能は,すべて来春の頭までには出せると思いますが,まず我々メーカーとしては,今回ROG Xbox ALLYを出しますので,それに対して何か深刻な問題があれば,すぐ対応せねばならない。それに対してリソースを準備しているという次第です。
今のところ,新しい機能について,具体的な日付というのは,まだ設けていません。
――ROG Xbox ALLYは,非常に実験的なプロジェクトだと思うのですが,Microsoftが気にしているのは,コミュニティからのフィードバックですよね。たとえば,どういった部分に1番関心を払っているのでしょうか。
Ronald氏:
やはり,今回が初めてのハンドヘルド型でXboxの体験を提供するという点になります。
(機能を先行してテストできる)Insider Programは,コンソールでもPCでも展開していますが,ROG Xbox ALLYのリリースにより,使いやすさはどうか,ゲームプレイはどうか。ゲームを見つけるのも容易にできるかといったことが,やはり1番興味がある領域です。
あとは,先端機能のAI活用がどうかといった意見にも,興味があります。
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過去を振り返っても,XboxはそのDNAとして,コミュニティとともに物作りをしてきたということがあります。今後の新しい機能強化も,Insider Programで皆様に,早めに提供させていただいて,声を伺いたいと思います。
――お話を聞く限り,ROG Xbox ALLYにおける超解像技術「Auto SR」(自動スーパー解像度)は,AMD独自の超解像技術「FSR」とは,異なる仕組みのように思えます。
その場合,ゲームがFSRに対応していれば,ゲーマーはFSRを使えばいい。対応していないゲームに関しては,Auto SRをデバイス側が自動で使うという,理解でよろしいでしょうか。
Ronald氏:
そうです。なので,ゲーム開発者がネイティブでFSRを使うと判断することはあります。FSRに対応していない,そういうアップデートがないゲームの場合は,Auto SRが有効になります。
――たとえば,NVIDIAの超解像技術「DLSS」にしか対応してないゲームとかですね。
Ronald氏:
AMDのSoCなので,そういうゲームはAuto SRになりますね。
――最初のXboxハンドヘルドを作るにあたって,なぜASUSと組んだのかを教えていただけますか。
Ronald氏:
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プレイヤーに最も中心を置いていて,プレイヤーのために最適化したデバイスを共に作ろう,という考え方がありました。
もちろん,ROGのAllyシリーズというプラットフォームが,それに向いてたということもあります。
私たちは,PCゲームのハンドヘルド市場でも,いろいろな反応をいただいておりました。けれども,Xboxの体験をハンドヘルド端末で提供するというのは,今後のゲームチェンジャーになっていくと思ってます。
ROG Xbox ALLY用に作られたカスタム版Windows 11を,ほかの携帯型ゲームPCに提供する考えがないというのは,少し残念ではある。とはいえ,通常のWindows 11自体を,ゲーム向けにより最適化していくという方向性は理解できる。
今回は試作機での動作をザッと確認しただけなのだが,Windows 11の「タスクマネージャー」で,どのようなWindowsのサービスが読み込まれているかを見たところ,普段使っているWindows 11 Proと,あまり変わらないように見えた。
たとえば,仮想マシン機能に関わる「Hyper-V」関連サービスや,Windows Search関連サービス,印刷関連サービスなどは読み込まれていたので(※停止状態ではあったが),カスタム版といっても,実態はそれほど変わらないのかもしれない。
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2週間ほど後には発売となるので,製品版でいろいろと細かいところを確認したいものだ。
ASUSのROG Xbox ALLY製品情報ページ
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- 編集部:小西利明
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