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「Nintendo Switch 2」分解レポート。Switchの構造を踏襲しつつ,信頼性を高める工夫が随所に見られる
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印刷2025/06/09 19:00

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「Nintendo Switch 2」分解レポート。Switchの構造を踏襲しつつ,信頼性を高める工夫が随所に見られる

 全世界で何百万人もが手に入れられずに歯噛みをしているであろう「Nintendo Switch 2」。それを分解するという,過去一,4Gamer読者の恨みを買いそうな分解記事であります。

今回の犠牲者。日本語・国内専用モデルのSwitch2
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 とくに気になるのは,NVIDIA製の搭載SoC(System-on-a-Chip)がどのようなものかや,前世代の「Nintendo Switch」と比べて,内部構造はどう変わっているのかだ。早速見ていこう。

※注意
 ゲーム機の分解はメーカー保証外の行為です。分解した時点でメーカー保証は受けられなくなりますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。分解によって何か問題が発生したとしても,メーカーはもちろんのこと,筆者,4Gamer編集部も一切の責任を負いません。また,今回の分解結果は4Gamerが入手した個体についてのものであって,「すべての個体で共通であり,今後も変更はない」ことを保証するものではありません。


分解難度は比較的低いSwitch2


 部品を高密度に実装した携帯ゲーム機の分解は,難度が高そうに思える。しかし,Switch2の分解は,比較的難度が低いようだ。ネジのほとんどは小さなプラスネジで,一部にY型ネジが使われている程度。ボディを開けるのもそこまで難しくはなかった。

Switch2を分解するときは,下側面(上)に2つ,上側面に1つあるネジを外す
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Joy-Con 2の取り付け部分にある色が付いたシールで隠された部分にも,ネジがある
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シールを剥がすとネジだけでなく,Joy-Con 2を本体に取り付けるための強力な小型磁石(※コネクタの左右)も顔を出す
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Switch2の外装および内部には,一部にY型ネジが使われている
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 「PlayStation 5」や「PlayStation 5 Pro」は,ユーザーがボディ外板や一部のフタを外してM.2 SSDを内蔵できるので,ユーザーが開けてもいいネジは普通のプラスネジ,ユーザーが開けてはいけないネジは特殊なトルクスネジといった具合に,ネジを使い分けていた。
 しかしSwitch2はストレージの増設にmicroSD Expressカードを使うので,ユーザーによる分解は考慮されていない。ただ,プラスネジとY型ネジをどういうルールで使い分けているのかは,分解していても判然としなかった。

ネジを外しつつ,背面のカバーパネルをこじ開ける様子
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 背面のカバーパネルを外すと,内部は金属のシールド板で広く覆われていた。中央やや上寄りには,冷却用のシロッコファンが見える。

背面パネルを外した状態。写真下側が本体の下側だ。内部はほぼ全体がシールド板で覆われている
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 シールド板は放熱板もかねているようで,背面パネル側にも熱を拡散できるよう,一部に熱伝導率に優れたグラファイトのシートが貼り付けられていた。

背面パネルにも,グラファイトのシートが貼られている。少しでも放熱しやすくしようという工夫だ
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 冷却用の空気は,下側面から吸い込んで,上側面から排気する構造のようである。

下側面側を見たところ。USB Type-Cポートの左右にあるメッシュ部分から,空気を吸い込むようだ
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上側面の中央に排気孔がある。左に見える黄色いフィルム状の基板は,上に並ぶボタン類のスイッチを並べたものだ
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microSD Expressカードスロットとシールド板をつなぐシール。ここでも熱を拡散させる工夫が施されている
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 背面パネルを開けて気付いたのは,microSD Expressカードスロットとシールド板をつなぐように,細いグラファイトのテープが貼られていたことだ。
 microSD Expressカードに限らず,メモリカードやUSBメモリなどは,高速でデータの読み書きを行うと,かなりの熱を発する。高温になると,エラーが発生しやすくなるので,正しくデータを読み書きできなくなってしまう。Switch2では熱対策として,microSD Expressカードスロットの熱をシールド板に少しでも拡散できるように,配慮しているわけだ。

プラスチックの部品の上に,無線アンテナが貼り付けられていた
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 ネジを外してシールド板を取り除くと,Switch2のマザーボードやバッテリーが表れた。バッテリー容量は5220mAhと,ハイエンドスマートフォン並みの容量がある。ただ,バッテリーはディスプレイ面にガッチリと接着(※おそらく両面テープ)されているので,傷付けずに外すのは難しそうで諦めた。

シールド板を外した状態。グリスが塗られている下に,SoCがあるようだ
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外したシールド板の重さを量ってみると約16g。ケーブル類を除いた実重量は15g程度か
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 SoCがあると思われる部分には,グリスが上に塗られた金属プレートがあり,そこから伸びた銅製のヒートパイプが,ファンの上にあるヒートシンクにつながっている。
 ちなみに,マザーボードとSoC,ファンやバッテリーの配置は,初代Switchとほぼ同じだ。Switchのノウハウが反映されているのだろう。

ヒートシンクとヒートパイプを外した状態
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 冷却用のシロッコファンは,冷却ファンや電源ユニットの製造で名高いDelta Electronics製だった。直径約35mmで,非常に細かいフィンが並んでいる。サイズは違うが,こちらもSwitchのシロッコファンと,ほぼ同じ見た目である。
 これもSwitchと同じだが,ファンを取り付けるネジ孔には,ゴム製のワッシャーのようなものが取り付けられていた。ファンの振動が内部のほかの部品に伝わらないようにする工夫であろう。

Switch2の内蔵ファン(左)。右は金属板を外して内部のフィンを露出させたところだ
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 一方で,Switch2のマザーボードには,Switchのマザーボードとは明らかに異なる部分もある。Switch2のマザーボードは,SoCのある部分を含めた表裏計6か所が,金属製のシールドで囲まれているのだ。Switchでは,シールドで囲んでいるのは2か所だけだったので,倍以上に増えている。
 これらは放熱のためではなく,基板上のチップから出る電磁ノイズを遮断するためのものだろう。金属シールドでチップを覆うことで,電磁ノイズがほかのチップや回路の動作に悪影響を及ぼすことを防いでいるようだ。

Switch2のマザーボード。SoCがあるこちら側が背面側(Side-B)だ
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マザーボードの前面側(Side-A)。一番大きなL字型のシールドはSoCの裏側で,とくにチップはなかった
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 ちなみに,Switch2のマザーボードには,「BEE-CPU-01」という型番のような文字列が印刷されていた。Switch2では,ほかの部分でも「BEE-XXX」といった印刷が見られる。「BEE」がSwitch2のコードネームなのだろうか?


NVIDIA製のSoC「GMLX30-A1」

ダイサイズは約232mm2


 SoCを覆う金属シールドを剥がすと,いよいよSoCが表れた。

シールドを剥がした状態。シリコングリスが付着しているのがSoCだ
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 PS5シリーズでは,プロセッサ(APU)の半導体ダイとヒートシンクの間に塗布するTIM(Thermal Interface Material,熱伝導素材)として,熱伝導性に優れた液体金属を用いるというコストをかけた構造を採用している(関連記事)。
 一方,Switch2は,TIMにシリコングリスを用いており,PS5のように特殊な構造ではない。携帯ゲーム機は,そもそもPS5ほど消費電力が高くはないので,そこまで特殊な構造を採用する必要はないのだろう。

Switch2のSoCであるGMLX30-A1
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 シリコングリスを除去すると,SoCの表面に刻印されたNVIDIAのロゴと型番などが見えるようになった。型番は「GMLX30-A1」。言うまでもなく,NVIDIAの公開情報に,この型番のSoCに関する情報はない。
 ただ,それ以外の刻印から,製造が台湾(TW)であること,2024年の第47週に製造されたものであることは窺える。

 SoCの詳細なスペックを,任天堂やNVIDIAは公開していない。ただ,NVIDIAが公開した情報では,GPU部分にAI処理ユニットである「Tensor Core」と,リアルタイムレイトレーシングユニットである「RT Core」を内蔵していることが明らかになっている。
 そこで,NVIDIAの組み込み向けSoCのラインナップを確認してみると,「Jetson Orin」シリーズが,「Ampere」(アンペア)世代,つまりGeForce RTX 30シリーズと同世代のGPUコアを採用しているのが分かる。これよりも古い世代の組み込み向けGPUコアになると,RT Coreを備えていないのでSwitch2の仕様と合わないのだ。
 もちろん,より新しい世代のGPUコア,たとえばGeForce RTX 40シリーズの「Ada Lovelace」(エイダ・ラブレイス)や,GeForce RTX 50シリーズの「Blackwell」(ブラックウェル)を採用するSoCを,Switch2向けに新しく開発する可能性もゼロではなかろう。
 ただ,2025年発売というSwitch2のスケジュールから考えると,まったく新しいSoCを開発するリスクを取るよりは,既存のJetson Orinシリーズのいずれかをベースに,Switch2向けに再設計したものを作ったほうが,安全確実だと思われる。

 ちなみに,海外での解析情報では,Switch2のSoCは,「T239」という型番で,CPUコアがArm製「Cortex-A78」シリーズを8基搭載。GPUコア部分は,シェーダコアであるCUDA Core数は1536基で,シェーダコアをまとめた単位である演算ユニット「Streaming Multiprocessor」(SM)数は12基といった情報も出ている。
 これが正しいと仮定して単純に考えると,CUDA Core数1024基の「Jetson Orin NX」をベースに拡張したものか,CUDA Core数1792基の「Jetson AGX Orin 32GB」をベースに縮小したものが,Switch2のSoCになりそうだ。

 同じAmpere世代でCUDA Core数2048基の「GeForce RTX 3050 Laptop GPU」(メモリ6GB版)が,GPUにおける性能指標のひとつである「FP32」(32bit浮動小数点数)演算性能で約7.6 TFLOPSだそうだ。単純に75%の性能と仮定した場合,Switch2のGPUは5.7 TFLOPS程度の性能を有する可能性がある。
 実際のGPU演算性能は,動作クロックと消費電力で大きく変わる。TVモードでゲームプレイ時の消費電力が約19W(※最大値ではない)というSwitch2は,動作クロックも低めにせざるを得ないので,この推測よりもやや低いGPU演算性能といったところではないだろうか。
 そのうえ最終的なゲームのフレームレートになると,SoCとメインメモリとのメモリインタフェース性能や,RT Coreを用いた超解像技術「DLSS」の性能なども関わってくるので,既存のゲーム機やPCと比べて,Switch2の性能の高低を推し量るのは難しい。

Switch2のメインメモリチップ。1つで容量6GBだ
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 SoCの話が長くなってしまったが,マザーボード上にあるほかのチップも見ていこう。
 SoCのすぐ近くには,2つのチップが並んでいる。これはMicron Technology製のLPDDR5Xメモリチップ「MT62F768M64D4EK-026」のようで,メモリ容量は1チップ6GB(48Gbit)。これが2つでメインメモリ容量は12GBというわけだ。メモリインタフェースは128bitである。

SoC近くにあった謎のチップ群。上側3つの正体は不明だ
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 SoCの近くには,別のシールドで覆われた4つの小さなチップもあった。残念ながら,本稿執筆時点でこのうち3つの正体は判明していない。それらの1つには「GCBRG HAC STD」という刻印があるのだが,同じ刻印のチップは,Switchにも実装されていた(関連記事)。
 ちなみに,電子機器の分解や修理用工具で名高いiFixitは,Switchの分解で,このチップを「セキュリティチップではないか」と予想していたが,正しいかどうかは不明だ。

 なお,GCBRG HAC STDと同じシールドで覆われていた「GL852G」というチップは,Genesys Logic製のUSB 2.0 Hubコントローラである。

フラッシュメモリと思われるチップ。キオクシア製だ
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 SoCの裏面であるSide-Aも見ていこう。
 Side-Aの端には,シールドで覆われたやや大きめのチップがあった。刻印の型番で該当するものはなかったが,メーカーを示すマークから,キオクシア製のNANDフラッシュメモリチップと推測できる。1チップで記憶容量は256GBだ。
 余談だが,Switch2にはSK Hynix製NANDフラッシュメモリチップを使用しているロットもあることが分かっている。フラッシュメモリチップの供給先は,複数あるわけだ。

 フラッシュメモリチップの近くにある大きめのチップは,Mediatek製の「MT3681AEN」という無線LANおよびBluetoothチップだ。
 Side-Aにはそのほかにも,別のシールドで覆われた区画に,Realtek Semiconductor(以下,Realtek)製のオーディオチップ「ALC5658」が載っていた。

Mediatek製の無線LANおよびBluetoothチップ「MT3681AEN」(左)。右は,蟹のマークでお馴染み,Realtekのオーディオチップ「ALC5658」だ
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 先述もしたが,Switch2のマザーボードは,主なチップ類がすべてシールドに覆われており,電磁ノイズ対策を徹底していることがうかがえる。それだけ厳重に対策することで,動作の安定性を確保して,常に快適なゲームプレイを行えるように配慮しているのだろう。


Joy-Con 2も分解。振動モーターはお馴染みアルプス製


 続いては,Joy-Con 2も分解していこう。
 Joy-Con 2の外側にネジは少なく,分解自体は簡単だ。外側のネジはY型ネジだが,内部はプラスネジだった。

Joy-Con 2のコネクタがある側面に,Y型ネジが2つ使われていた
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カバーを開けるとバッテリーが現れた。左上に見えるのは振動用モーターだ
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 ただ,内部は多数のネジでガッチリと固定してある印象で,乱暴に扱われることも多いJoy-Con 2が簡単に壊れてしまわないよう,配慮しているのがうかがえる。そのおかげで,完全にバラすのはけっこう大変だった。

Joy-Con 2のマザーボード背面側。中央からアナログスティック底部の右につながっているフレキシブルケーブルは,本体との接続端子に,アナログスティック左上に見える短いフレキシブルケーブルは,マウス用光学センサーにつながっている
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 Joy-Con 2の基板には,いわゆる技適マークが印刷されていた。これはSwitchのJoy-Conと同じである。
 Switch2本体は,画面上で確認すればいいのだが,単独で無線通信を行うJoy-Con 2は,Joy-Con 2自体に技適マークをつけなければならないからだ。

アナログスティックのユニット。メーカーが分かる情報は一切ない
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 Joy-Con 2のマザーボード背面側にあるチップは,NXP Semiconductors製の「PN71602」というNFCコントローラだった。「amiibo」との通信に使うものだろう。
 「B011AF1185」と刻印された振動用モーターは,アルプスアルパイン製の「ハプティックリアクター」のようであるが,Switch2用の特別なものなのか,同社が公開している情報で,型番やサイズが一致するものはなかった。

NXPのロゴがある「PN71602」は,NFCコントローラだ(左)。右はアルプスアルパイン製の振動用モーター
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Joy-Con 2のマザーボード前面側
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 Joy-Con 2のマザーボード前面側のチップは,Mediatek製のようだが,刻印を読み取れなかった。おそらくは,Switch2との通信やマイクロコントローラを担当するチップと思われる。


Switch2ドックも分解


 最後に,Nintendo Switch 2ドックも分解してみた。こちらも特に難しいことはない。内部はスカスカで,背面側に小さな基板と空冷ファンが入っているだけだ。

Switch2ドックの内部
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 Switch2ドックが空冷ファンを内蔵していることは,すでに明らかになっていたが,実際に開けて見ると,ファンはかなり小さいうえ,本体側SoCとは離れた位置にあるのが意外だった。ドック内のファンは,TVモード時に本体の冷却を促進するよりも,ドック内部を冷やす役割を重視しているのだろうか。

横から覗いた様子(左)。写真下側がSwitch2本体に触れる部分だ。右はドックのファン本体。ファン直径は約27mmだった
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 Switch2ドック内部の基板には,シールドで覆われた部分に3つの目立つチップがあった。
 蟹のマークが目立つ2つのチップのうち,HDMI出力の横にあるものは,Realtekの「RTD2175N」という映像出力チップだ。HDMI 2.1対応で4K映像出力,可変リフレッシュレート(VRR)対応である。

 有線LANポートの近くにあるRealtekのチップ「RTL8153B」は,USB 3.0 to 1000BASE-T有線LANコントローラだ。

映像出力を担当するRTD2175N(左)と,LANコントローラのRTL8153B(右)
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USB 3.2 Gen 2対応ハブコントローラのGL3510
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 2つの蟹チップに挟まれていたチップ「GL3510」は,Genesys Logic製のUSB 3.2 Gen 2対応ハブコントローラである。Switch2本体と,映像出力や有線LANコントローラ,USBポートのあいだに入っているチップだろう。

 一方,シールドのない表面側には,目立つチップが4つある。そのうち2つ「CP10356AT」と「CP10358AT」は,何のチップだか調べがつかなかった。
 それ以外の2つのうち,STMicroelectronicsのロゴが入っていた「STM32G0」は,Arm製のCPUコアを内蔵するマイクロコントローラだ。Switch2ドックのさまざまな制御を担当するものだろう。

 もうひとつ,Winbond Electronicsのロゴが入った小さなチップ「25Q80DVNIG」は,記憶容量1MB(8Mbit)フラッシュメモリだ。Switch2ドックのファームウェアを保存しておくものだろうが,1MB程度で足りるのにはちょっと驚いた。

STM32G0(左)はマイクロコントローラ,25Q80DVNIGはフラッシュメモリチップだ
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Switchのノウハウを受け継ぎつつ,性能向上に合わせて信頼性も高めたSwitch2


 ひととおりSwitch2と付属品の内部を見てきたわけだが,正体不明のチップが多いのは,基板サイズや消費電力といった制約の厳しい携帯ゲーム機に最適化したカスタムチップを多用しているからと思われる。
 任天堂は,Switch2の初年度販売台数を1500万台と見込んでいる。それだけの台数を生産できるのであれば,汎用品よりコストの高いカスタムチップを使っても,十分に元が取れるのだろう。

 また,基板上にシールドされた部品が多いのも注目すべき点だ。先述したとおり,動作の安定性や信頼性を高めるために,電磁ノイズ対策に重点を置いていることの表れだが,「ここまでやるのか」というのが素直な感想だ。Switchよりも格段に高性能になっているだけに,信頼性のために注意する部分も増えているのだろうか。

 頑丈さや信頼性を重視したSwitch2の構造からは,子供から大人まで,据え置きから持ち歩きまで,幅広いユーザー層や場面で使われることを考慮した任天堂らしさが表れていると言えるのではないだろうか。

 今回は,編集部が所有する貴重な1台を分解してしまったわけだが,筆者個人は,いつになったら買えるのだろうか……。

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任天堂のSwitch2公式Webサイト

  • 関連タイトル:

    Nintendo Switch 2本体

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