古き良きラリーゲームの雰囲気を持つ「Old School Rally」（ほぼ日 インディーPick Up！）

　本日は，Frozen Lake Gamesが手掛ける「Old School Rally」を紹介しよう。本作は90年代後半のアーケードスタイルを再現したラリーレースゲームだ。プレイヤーは一人のラリードライバーとなり，世界各地の多彩なコースを走破して，栄光のトロフィーを目指していく。


　このゲームの最大の特徴は，記憶の底にある「あの頃」の手触りを現代に蘇らせた点にある。挙動は実車を精密に再現したシミュレーター寄りではなく，大胆なドリフトでコーナーを攻めるアーケードスタイルだ。ハンドルを切り，アクセルを調整して車体を横滑りさせる一連の動作には，理屈抜きの気持ちよさがある。複雑な設定や調整に頭を悩ませる必要はない。ただ直感に従ってマシンを操り，リズムよくコースを駆け抜ける快感こそが本作の醍醐味だ。


　ゲームの進行は，ステージごとに設けられた規定タイムへの挑戦が基本となる。メインとなる「ラリーモード」では，区間タイムをクリアすることで次のステージが開放されていく仕組みだ。世界10カ国以上に及ぶコースは，雪山や砂漠，市街地などバリエーションに富んでいる。走り込みが足りなければタイムは縮まらず，先へ進むことはできない。何度もコースを周回し，最適なライン取りを体に覚え込ませる過程は，往年のレースゲームが持っていた純粋な楽しさを思い出させてくれる。




　画面を構成するのは，ローポリゴンの車体とピクセルが目立つ粗いテクスチャだ。遠くの景色がぼやけ，近づくにつれて鮮明になる描写手法まで再現されている。そこにテクノやユーロビート調のBGMが重なることで，PlayStation初期やセガサターン時代の雰囲気が完璧に立ち上がる。高精細なグラフィックスが当たり前の現代において，この「意図された粗さ」が味わいとなっており，プレイヤーの想像力を刺激する余地を残している。



　本作の操作感は，リアルさよりも「走る楽しさ」に重点を置いている。ブレーキとステアリングの操作だけで，車体は派手にスライドし，コーナーを華麗にクリアできる。路面の凹凸や摩擦係数を細かく計算するよりも，スピードを維持したままコーナーへ突っ込み，絶妙なカウンター操作で立ち上がる瞬間のカタルシスが素晴らしい。難しい理屈抜きに，誰もがカッコいい走りを演じられる調整がなされている。



　メインとなるラリーモードは，長大なシーズンを戦い抜く形式ではない。1ステージごとに明確な「目標タイム」が設定され，それをクリアすれば即座に次へ進めるアーケードライクな進行だ。オートセーブにも対応しており，たった数分，1レースだけ走って止めるという遊び方が容易にできる。「重厚なキャリアモードは荷が重いが，走る楽しさは味わいたい」という人に，この軽快なテンポは驚くほど噛み合うはずだ。

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　「Old School Rally」は，90年代のラリーゲームが持っていた熱量と手軽さを，現代の環境で楽しめる良作だ。複雑なシミュレーション要素に疲れた人や，かつてブラウン管の前でタイムアタックに明け暮れた人には特におすすめしたい。短時間でサクッと遊べる気楽さと，つい「あと一回」と繰り返してしまう中毒性を兼ね備えている。ノスタルジーに浸りながら，純粋にアクセルを踏む喜びを再確認してみてはいかがだろうか。