連載
硝煙と臓物で彩るラインディフェンス「WAR RATS: The Rat em Up」(ほぼ日 インディーPick Up!)
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我らラット軍が目指すは,機械化された異形「テクノラット」からの故郷奪還だ。泥濘に足を取られながらも,兵士たちは前へ進む。肉体が弾け飛び,屍が山を築こうとも止まることは許されない。
この地獄のような戦場で,指揮官である君の決断だけが,唯一の希望となる。
本日は,銃火器を手に戦場を駆ける2Dアクションと,自軍を指揮するRTS要素を組み合わせた「WAR RATS: The Rat em Up」紹介しよう。
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本作においてプレイヤーは,一匹のネズミ兵として最前線で引き金を引く――だけではない。集めた資源「CHz」を消費して味方部隊を出撃させ,バリケードや砲台を設置し,ジリジリと戦線を押し上げていく。
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つまりは,自身の射撃テクで敵を排除しつつ,戦況を見極めて防衛網を敷くわけだ。最終的な目的は,敵の本拠地最奥部まで味方の工作兵「ラティニア」を送り込むこと。道中で倒れても,稼いだ資源で軍を強化し,再び泥臭い戦場へと舞い戻る。死と破壊を繰り返すほどに,ラット軍団は強靭な軍隊へと生まれ変わっていくのだ。
快感を覚えるマルチタスク
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射撃,部隊指揮,拠点設営,そして全体強化。これら4つの要素を一人で同時にこなす忙しさが,本作の肝だ。目の前の敵を撃ち殺しながら,背後では砲台を建て,さらに援軍を呼ぶ。一瞬の判断遅れが戦線崩壊を招く緊張感は,脳みそが焼き切れるような興奮をもたらしてくれる。
臓物が飛び散る手描きのアート
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画面を埋め尽くすのは,愛らしくもグロテスクなネズミたちの屍だ。被弾すれば四肢が飛び,血肉が舞う。解剖学に基づいたという妙にリアルな断面図と,カートゥーン調の絵柄が奇妙な調和を見せている。かつてのフラッシュゲーム黄金期を思わせるバイオレンスな表現は,人を選ぶかもしれないが,刺さる人には強烈な印象を残すだろう。
皮肉と狂気に満ちたネズミ戦争
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第一次世界大戦風の重厚な世界観でありながら,その実態はブラックジョークの塊だ。死亡時のふざけたボイスや,作戦説明に挟まるダジャレの数々。悲壮感漂う設定とは裏腹に,どこか乾いた笑いが漂っている。シリアスな戦争ドラマを期待すると肩透かしを食らうが,この悪ノリこそが,殺伐とした戦場のよい清涼剤となっている。
「WAR RATS: The Rat em Up」は,自身の腕前と指揮能力の両方が試される,骨太な一本だ。画面の情報量の多さに圧倒されるかもしれないが,それをねじ伏せて勝利をもぎ取る達成感は格別である。かつてのnewgrounds作品のようなノリや,高難度なラインディフェンスを好むなら,ぜひこの泥沼の戦争に志願してほしい。
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