連載
ハプニング続出のファンタジー酒場を経営する「Tavern Keeper」(ほぼ日 インディーPick Up!)
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プレイヤーは一人の店主(タバーンキーパー)として,この場所を切り盛りすることになる。訪れる客たちの悩みや世界の秘密に触れながら,自分だけの酒場の物語が今,始まる。
「Tavern Keeper」は「Game Dev Tycoon」の開発チームが10年以上をかけて開発した,ファンタジー酒場経営シミュレーションだ。ゲームの目的は,個性豊かな客と交流したり,トラブルに対応したりしながら酒場を理想の形に成長させること。100を超えるストーリーイベントが用意されており,そこで提示される選択肢が,物語の結末や展開を変化させていく。
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ゲームの基本的な流れは,まず自分だけの酒場を設計・建築することから始まる。壁や床,千種類以上あるテーブルやイスといったインテリアを自由に配置し,時には「デザインモード」でオリジナル家具を作ることも可能だ。
次に,酒や料理の仕入れといった在庫管理,メニューの設定,そしてスタッフの雇用を行う。スタッフにはバーテンダーや料理人といった役割だけでなく,それぞれスキルや性格,希望給与まで設定されており,個性を見極める必要があるのだ。
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営業が始まると,客が訪れ,スタッフが接客や配膳に奔走する。プレイヤーは彼らの業務を割り振り,モチベーションを管理しながら,店を切り盛りしていく。
しかし,経営は順風満帆とは限らない。酔っぱらいが問題を起こしたり,キッチンで火事が発生したり,スタッフが病気で倒れたりと,予測不能なトラブルがリアルタイムで発生する。これらの問題にどう対処するかが,店の評判や後の展開にも影響を与える。
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こうして得た売上や報酬を使い,酒場を増築したり,厨房や客室といった新しいエリアを開放したりして,店をさらに拡張していく。この経営サイクルと並行して,客との交流や突発的なイベントから成るストーリーが進行し,シミュレーションと物語体験が密接に結びついたプレイが楽しめるようになっている。
自由自在な酒場カスタマイズ
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本作の大きな魅力は,酒場の設計と装飾における圧倒的な自由度だ。壁や床のレイアウトはもちろん,千種類を超える家具や装飾品を好きな場所に配置できる。さらに,パーツを組み合わせてオリジナル家具を作成し,ほかのプレイヤーと共有する機能まで備えている。
こうした装飾は,単に見た目を変えるだけでなく,清潔度や快適度といった店のパラメータに影響し,特定の客層やイベントを誘発する役割も担っている。自分だけの理想の酒場を追求するプロセスが,経営シミュレーションの深い面白さにつながっているのだ。
物語が経営に直結する体験
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単なる経営シミュレーションにとどまらず,RPGのような重厚な物語体験が組み合わさっている点も特筆すべきだ。100を超えるイベント群は,個性的な客との交流や悩み相談といったハートフルなものから,火事や酔っぱらいの喧嘩といった突発的なトラブルまで多岐にわたる。
重要なのは,これらのイベントで提示される「選択肢」が,物語の分岐だけでなく,スタッフや酒場そのものの能力,評判にも影響を与えること。経営判断と物語体験が不可分に結びついているのが,本作ならではの体験といえる。
奥深い「人事」を担うスタッフ管理
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酒場経営のリアリティと深みを生み出しているのが,スタッフの管理システムだ。プレイヤーはバーテンダーや料理人を雇う際,スキルや得意分野だけでなく,彼らの性格や希望給与まで考慮しなくてはならない。
営業中は業務の割り振りやモチベーションの管理が求められ,これを怠るとサボりやトラブルの原因にもなる。どのスタッフを雇い,どう育成し,いかに効率よく働いてもらうか。この「人事」の要素が,経営の難しさと面白さを同時に引き上げている。
本作は2025年11月3日にアーリーアクセスが始まったばかりだが,コアとなるシステムは一通り実装されており,今後のアップデートで新ストーリーや機能の追加も予定されている。
経営の効率化を追求するだけでなく,選択肢によって変化する人間ドラマや,自分だけの酒場を細部まで作り込む楽しさも味わえるようになっている。経営シミュレーションが好きな人はもちろん,ファンタジー世界で自分だけの物語を紡ぎたい人,あるいは自由なカスタマイズを楽しみたい人にも適した一作だろう。
- 関連タイトル:
Tavern Keeper
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