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群衆に紛れた“自分”を狩る「It Has My Face」(ほぼ日 インディーPick Up!)
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印刷2025/11/11 07:00

連載

群衆に紛れた“自分”を狩る「It Has My Face」(ほぼ日 インディーPick Up!)

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価格:1200円 / 日本語あり
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霧がかったディストピアの街。無数の人々が行き交う雑踏に,自分と瓜二つの顔を持つ”それ”は紛れている。”それ”は明確な殺意を抱き,こちらの命を狙っている。

パラノイアに苛まれながら,殺される前に相手を見つけ出すしかない。狩るか,狩られるか。孤独な戦いが始まる。


 本日紹介するタイトルは「It Has My Face」だ。開発はインディースタジオのNightByte Gamesが,販売は「Dead by Daylight」で知られるBehaviour Interactiveが手掛けている。

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 ゲームの目的は,自動生成されるディストピアな環境で,群衆に紛れた自分そっくりのクローンを見つけ出し,それを暗殺すること。ゲームの流れは主に3つのフェーズに分かれる。まずは「探索」。マップ内に置かれたアタッシュケースなどから武器や限られた弾薬を回収する。武器を回収する間は視点が固定され,完全に無防備になるため,常に周囲への警戒が必要となる。

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 次に「観察」。何百という顔の中から,自分と瓜二つのクローンを特定する。ただし,クローンもまたプレイヤーを探しているため,この過程には絶えず緊張感が伴う。最後が「実行」。クローンだと確信したら攻撃を仕掛ける。逆にクローンにやられてしまうとゲームは振り出しに戻るといった具合だ。

 ステージが進むと新たなルールが追加され,ゲームはより複雑になっていく。また,死んでしまっても,集めたポイントを使って能力を強化できるローグライト要素が採用されており,繰り返しプレイすることで,プレイヤーは少しずつ生存の術を学んでいくことになる。

プロシージャル生成されるパラノイア


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 ソーシャルディダクションは複数人で遊ぶのが一般的だが,本作はAIのクローンを相手にするシングルプレイでの体験に特化している。これにより,プレイヤーは他者との駆け引きではなく,純粋な観察と,次第に増幅していく自らの疑心暗鬼に没入することになる。「いつクローンと出会うかわからない」という状況が,常に付きまとう心理的なプレッシャーを生み出し,本作ならではの「プロシージャル生成されるパラノイア」とでも呼ぶべき体験を提供している。

やるかやられるかの緊張感


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 「探索→観察→実行」というゲームループは単純明快だが,1つ1つの行動に高いリスクが設定されている。とくに,武器の回収中に周囲をうかがえない恐怖や,絶え間なく誰かとすれ違う人口密度の高さにより,プレイヤーは一瞬の油断も許されない。この極限の緊張感が,クローンを発見し,うまく仕留めることができたときの大きな達成感に直結している。

失敗を糧にするローグライト構造


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 全体的にシビアなゲームだが,失敗は決して無駄にはならない。死ぬたびに得られるポイントで恒久的なアップグレードをアンロックし,新たな戦術を身につけていけるからだ。このローグライトな構造が,「次こそは」という再挑戦への意欲をかき立て,高いリプレイ性を生み出している。厳しい環境の中で,プレイヤーが少しずつ「より良い自分」へと成長していく感覚が,本作の大きな魅力といえるだろう。



 「It Has My Face」は,自分と同じ顔のクローンを群衆から探し出すという独創的なコンセプトを,緊張感あふれるゲームシステムに落とし込んだ作品である。シンプルなピクセルアートの見た目とは裏腹に,プレイヤーに強烈な疑心暗鬼と心理的恐怖を植え付ける力を持っている。

 じっくりと腰を据えて観察し,推理することが好きなプレイヤーや,派手な演出ではなく,じわじわと精神的に追い詰められるような恐怖を味わいたいプレイヤーには特におすすめだ。また,失敗を繰り返しながら少しずつ攻略の糸口を見つけていく,ローグライトのゲームプレイが好きな人にも適しているだろう。


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