2025年6月20日,Intelは,東京・秋葉原で同社主催のイベント「インテルPC Gaming with モンスターハンターワイルズ」を開催した。本イベントでは,「
モンスターハンターワイルズ」の動作確認済みPCの展示に加えて,IntelやPCパーツメーカー各社の担当者による技術解説,ゲストを招いたゲーム体験コーナーなどが行われた。
会場となったLIFORK秋葉原II
 |
今回のイベントは,Intelが2025年6月20日に開始した「最新のインテルCoreプロセッサー搭載PCと一狩りいこうぜ!」キャンペーンに合わせて開催したものだ。
このキャンペーンでは,2025年8月3日までの期間中にIntel製デスクトップPC向けCPU「
Core Ultra 200S」や,
第14世代Coreプロセッサの単体製品,または搭載PCを購入すると,抽選でモンスターハンターワイルズのグッズやゲーマー向け周辺機器が当たるという。
イベントでは,まずIntel IA技術本部部長の
太田仁彦氏が,Core Ultra 200Sの新機能である「
Intel 200S Boost」を紹介した。
Intel 200S Boostの概要
 |
Intel 200S Boostは,Intelが2025年4月に発表した機能で,Core Ultra 200Sの「K」型番モデルとIntel Z890チップセットを搭載したマザーボードで利用できる。マザーボードメーカー各社が提供する最新BIOSに更新して,Intel 200S Boost用のプロファイルを選択することで,メインメモリの動作クロックを最大DDR5-8000まで引き上げられるという。さらにCPU内部のNGU(Next Generation Uncore)や,ダイ間を接続するインターコネクトの動作クロックも引き上げており,これにより,システム全体の性能向上が見込めるというのがIntelの主張だ。
CPUコアの動作クロックを上げるのではなく,メインメモリの動作クロックやCPU内部にあるインターコネクトのクロックを上げるというものだ
 |
Intelの検証結果によると,ゲームタイトルでさまざまだが,Intel 200S Boostを利用することで平均5%の性能向上を実現しているとのこと。
Intel 200S Boostの有効時と無効時の性能比較。ゲームタイトルによって効果に差が生じている
 |
また,Intel 200S Boostを利用しても,Intelが提供する製品保証の範囲内というのも大きなポイントだ。CPU内部の動作クロックを引き上げるというと,導入に二の足を踏んでしまう人もいるかもしれないが,保証が効くとなると試しやすいだろう。
PCパーツメーカーの技術セッションでは,各社のIntel Z890搭載マザーボード製品を解説した。
GIGA-BYTE Technology(以下,GIGABYTE)は,白色基板を採用したゲーマー向けマザーボード「
Z890 AORUS PRO ICE」を紹介する。
Z890 AORUS PRO ICE。メモリスロットやPCI Expressスロットも白色で統一している
 |
同製品を含むGIGABYTE製マザーボードでは,パーツの付け外しや配線のしやすさに配慮した設計を採用している。たとえば,無線LANのアンテナコネクタも,抜き差ししやすい形状になっているほか,M.2 SSD用のヒートシンクをねじなしで着脱できる「EZ-Latch Click」や,PCI Express(以下,PCIe) x16スロットのラッチを外すボタン「PCIe EZ-Latch Plus」といった機能を備えるのがポイントだ。
無線LANのアンテナコネクタは装着しやすい形状にしている
 |
PCを組み立てやすい機能を備える
 |
MSIは,マザーボードのコネクタをすべて背面に配置する「Project Zero」仕様の「
PRO Z890-S WIFI PZ」を紹介した。こちらも白色基板を採用しているのが見どころで,白色PCを組みたい場合に重宝しそうだ。
白色基板のPRO Z890-S WIFI PZ
 |
コネクタを裏面に実装している
 |
電源回路は12+1+1+1フェーズと,ゲーマー向け製品と比べて控えめだが,信頼製品の部材やサーバーグレードの基板を用いることで,安定動作を実現するという。また,Intel 200S Boost対応BIOSもすでに提供済みだ。
ASUSTeK Computerは,ワークステーション向けマザーボードの「
PRO WS Z890-ACE SE」を紹介した。本製品は,動画編集やAIにおける深層学習,企業におけるIT管理といった用途に向けたマザーボードで,長時間の連続稼働や高温多湿の環境にも耐える高耐久仕様となっている。また,LAN経由の遠隔でシステムを管理するBMC (Baseboard Management Controller) LANポートを備えるほか,管理用ソフトウェアも合わせて提供するそうだ。
高耐久仕様のPRO WS Z890-ACE SE
 |
管理用ソフトウェアのASUS Control Center Express
 |
ASRockは,製品紹介ではなく,Intel 200S Boostの活用するポイントを解説。ASRockの検証によると,「
The Riftbreaker」や「
Far Cry」「
Shadow of the Tomb Raider」といった古めのゲームタイトルにおいて,Intel 200S Boostを有効化すると,15%前後の性能向上を確認したという。
ASRockによるIntel 200S Boostの検証結果
 |
Intel 200S Boostの設定も簡単で,ASRock製マザーボードの場合は,Intel 200S Boost対応の最新BIOSに更新後,BIOS設定の「OC Tweaker」からIntel 200S Boostを選択するだけで利用できるとのこと。
わずか2ステップでIntel 200S Boostを有効化できるという
 |
また,Intel 200S Boostでは,メインメモリの動作クロックを最大8000MT/sまで引き上げるため,CPUの性能を引き出すには,高速なオーバークロックメモリモジュールを使用することも重要となる。できるだけ,DDR-8000以上の高クロックメモリを選びたいところだ。
メモリオーバークロックの世界記録を持つZ890 Taichi OCF。最大1万2842MHzでDDR5メモリが動作したそうだ
 |
インテル大野社長がモンハンに挑戦
タレントでストリーマーのRaMuさん。映画通としても知られる
 |
イベントの後半では,タレントでストリーマーの
RaMuさんをゲストに迎えて,Core Ultra 200Sシリーズを搭載したゲーマー向けPCで実際にモンスターハンターワイルズをプレイした。RaMuさんは,モンスターハンターワイルズの耐久プレイ配信を行うほどの熟練ハンターだ。闘技場のチャタカブラに太刀で挑戦し,4分22秒で討伐した。
インテル 代表取締役社長 大野 誠氏
 |
続いては,サプライズゲストとして,インテルの代表取締役社長を務める
大野 誠氏が登場。RaMuさんからレクチャーを受けて闘技場のチャタカブラに挑んだ。大野氏は今回のイベントに合わせて「ちょっとだけプレイした」とのこと。序盤はなかなか操作がおぼつかない様子で,集中弱点攻撃を出そうとして装衣を着るほほえましい場面も見られた。後半は気刃兜割を当てて大ダメージを出すなど,次第に操作に慣れてきたようで,RaMuさんと協力しつつ無事撃破できた。
RaMuさんのレクチャーを受ける大野氏
 |
さらに大野氏のリクエストとして,太田氏もチャレンジ。大野氏から体力ゲージの見方やアイテムの使い方などを教えてもらいながらプレイしていた。扱いやすい双剣を選んだのが功を奏したのか,ド派手な集中弱点攻撃を連続で決めてこちらも無事討伐して,会場は大盛り上がりとなった。
インテル IA技術本部部長 太田仁彦氏(左)。社長の大野氏からアドバイスを受けながらプレイと思いきや……「いまの技どうやったの?」(大野氏),「よくわかりません」(太田氏)というほほえましいやり取りも
 |
イベント終盤には立ち見が出るほどの参加者が会場に詰めかけた
 |
最近15年ぶりに自作PCを組み立てたという大野氏。ゲームはもちろんDAWを使った楽曲制作にもチャレンジしたいという
 |
 会場に展示されていたモンスターハンターワイルズ動作確認PC。マウスコンピューターの「G TUNE FZ-I7G89」 |
 サイコムの「G-Master Velox Mini B860 MHWS」 |
 サードウェーブの「GALLERIA XA7C-R46T」 |
 ヤマダ電機の「G-GEAR GE7J-C252BH/MH」 |
ユニットコムの「LEVEL∞ OG-I714700AS1N1TMB」
 |