
企画記事
「パラノマサイト」ロスに苦しむあなたへ。シナリオライター・石山貴也氏の名作「探偵・癸生川凌介事件譚」シリーズを,今こそプレイしてほしい
もっと「パラノマサイト FILE23 本所七不思議」みたいな作品を遊びたい……。
この行き場のない気持ちを,どこに向ければいいのだろうか。
そんな「パラノマロス」を抱える皆様にお勧めしたい作品が,「探偵・癸生川凌介事件譚」シリーズである。
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というのも,同シリーズのVol.1〜10は「パラノマサイト」のシナリオを制作した石山貴也氏が手がけているからだ。
本シリーズをプレイすれば,間違いなく石山氏が「パラノマサイト」で披露していた「旨味成分」と再び対峙することができるはず。
なにより,「探偵・癸生川凌介事件譚」シリーズはNintendo Switch,Steam向けに移植版がリリースされているほか,3月14日にはVol.1〜10を収録したお得なバンドル「G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 - 10 Bundle」もNintendo Switch向けに発売された。
もう遊ばない理由はない。
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本記事では“「探偵・癸生川凌介事件譚」のVol.1〜10,とくに傑作と名高い「探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.10「永劫会事件」」をプレイしていただく”ために,改めて本シリーズの魅力を紹介していく。
記事内には若干のネタバレを含むので,「まっさらな状態でプレイしたい」と思った人は,先にゲームをプレイしていただければ幸いだ。
※お詫びと訂正(2025年6月20日9:10)
初出時の記事タイトルに,石山貴也さんのお名前とゲームタイトル名に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
サクッと味わえる本格推理&どんでんがえし。シリーズ作からうかがえる石山氏の歴史
「パラノマサイト」の魅力はさまざまだが,その魅力の基盤に走るものは「遊びごたえのある推理要素」と「先が見えない,どんでん返しが続く物語」だと思う。
これらの「パラノマサイト」魅力であり特徴となっている要素は,「探偵・癸生川凌介事件譚」シリーズの根本を形作る要素でもある。
つまり,シリーズの基盤から,すでに「パラノマロス」解消の光を見出せるのだ。
![]() パラノマロスはこの作品で解消できる!!!! |
そもそも本シリーズのほとんどは,フィーチャーフォン向けに配信されていた。とくにシリーズ初期には容量などの制約があり,多くの作品が短編と呼べる超コンパクトなボリュームだ。
とはいえ,テキストで綴られる物語にはしっかりとした強度があり,とくにシリーズ中期以降の作品は推理にも充分な歯ごたえがある。
一部の作品にはクリア後に,プレイヤーの推理力を評価される仕様もある。いわば“スパッとタイパよく楽しめる推理もの”となっている。
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作品によって主人公は異なるが,主人公は基本的にゲームシナリオライターの「生王 正生(いくるみ まさお)」で,とある理由から探偵事務所に入り浸る彼と,実力のある癸生川の助手「白鷺洲 伊綱(さぎしま いづな)」が事件を追う様子を描いていく。
もちろん,タイトルを冠する探偵・癸生川 凌介(きぶかわ りょうすけ)もメインキャラクターとして登場し,しばしば協力してくれる。
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……のだが,彼が本領を発揮するのは 基本的に物語の最後。
天才だが周囲の人を振り回す“かなり変わった人”である癸生川は,王生や助手である伊綱に捜査や推理を任せつつ,ほとんど別行動を取っていたり,行動を共にしていても敢えて真相を語らないケースが多い。
この癸生川の人柄も相まって,本作ではしばしば,王生や伊綱らが積み上げた推理/捜査を,癸生川の最終的な推理によって「どんでん返し」される構造が採用されているのだ。「パラノマサイト」ほど畳みかけられるわけでは無いが,これが“良い裏切り”として気持ちが良い。
自ら積み上げたものを崩すこと,ないし崩されることは,いつだって心地よい。そこに真実というオマケもついてくるので,なおさらだ。
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このように「探偵・癸生川凌介事件譚」シリーズには,「短編,中編でさっくりと遊べる」「本格的な推理」「先の読めないどんでん返し」と,根本的な作品の設計から「パラノマサイト」との共通項を見出せる。
シリーズ作にはクローズド・サークルもの,テーマパークでの事件,いわゆる「因習村」といった王道な設定にくわえて,ホラー風味のある作品,犬と刑事のバディモノ(!?)も用意されている。シチュエーションがバラエティに富んでいることで,続けて遊んでも新鮮さが持続する。
さらに,シリーズを重ねるごとにクオリティが目に見えて上がり,新要素が導入されたり ,キャラクターの関係性が変化したり,キャラクターの秘められた過去が明かされたり,はたまた過去作の伏線が回収されることもある。
こういった「シリーズを通して遊ぶ楽しさ」がしっかりと用意されている点は,本シリーズの根本にある魅力であり,第1作から順に作品をプレイする醍醐味を作り出している。
![]() とくに第5作「昏い匣の上」はホラーテイストでかっちょいい |
![]() いわゆる因習村(的なロケーション)も登場 |
なお,シリーズの1〜3作目は「癸生川によるラストのどんでん返し」に少し横暴さが含まれていることや,探偵ものとして王道なストーリーが描かれることから,今プレイするとややクラシックに感じる方もいるだろう。
だが第4作「白鷺に紅の羽」からは,助手でありヒロイン的なキャラクターの白鷺洲伊綱が,冒頭で「既婚者」だと明かされ,彼女の過去,そして信念が描かれることで,一気に作品のボルテージがブチ上がる。
本作における群像劇の説得力,それにより立体的な自立性を帯びる伊綱,癸生川のキャラクター像は,現代の作品に決して負けない説得力がある。
いきなり「10作目まで遊べ!」とは言わない。まずは,4作目まで遊び,その後のドラマティックな物語にむせび泣き,そのまま第10作「永劫会事件」まで走り抜けていただきたい。
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ちなみに,筆者は世紀末生まれであり,「探偵・癸生川凌介事件譚」シリーズがフィーチャーフォンで展開されていた時期は,“近所のちょっと急な坂をギア6の子供用自転車で登りきること”以上の娯楽を知らなかった。
それゆえに,「探偵・癸生川凌介事件譚」シリーズをプレイしたのは“おとな”になってからである。「パラノマサイト」をプレイした後に,その喪失感を埋めるため,知人のオススメに従って本シリーズに出会ったのだ。
いきなりシリーズの抽象的なフレームの話をしたことは大変申し訳ないが,筆者の場合は「探偵・癸生川凌介事件譚」シリーズにおける作品の設計や,回を追うごとに追加される新要素と対峙することで「石山貴也氏は,この作品群を経てパラノマサイトを生み出したのか」という,作家の歴史を辿る楽しさを味わえた。
そういった「作家の進化を追体験する楽しさ」をおすそ分けしたいという思いから,まずは前段として作品のフレームを紹介させていただいた次第だ。
「推理ゲームの中で推理ゲームを遊ぶ」メタ要素の遊び心と機能
作品のフレームだけを紹介しても,「パラノマロス」を絶対に解消するという補償として,いささか物足りないかもしれない。ここからは,シリーズ作の「ちょっとメタい要素」に焦点を当て,具体性を上げてシリーズを紹介していく。
先述のとおり,多くのシリーズ作で主人公を務める生王正生の本職は,ゲームシナリオライターだ。
さて,ここで本作のクレジットなどに目を向けると,そこには王生正生の名前を確認することができる。どういうことだってばよ。
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※現実世界ではシナリオを執筆したのは石山貴也氏であり,すなわち王生正生=石山貴也氏である。
つまり「探偵・癸生川凌介事件譚」シリーズは,作中に登場した王生正生が,実際に体験したことをゲーム化し販売した作品,という設定になっている。いわば,モキュメンタリー的な建て付けになっているわけだ。
この設定はメタ的な遊び心とともに,視点を「事物を客観的な語り部・観測者」の視点へ誘導することで,プレイヤーの立場を説明する役割も果たしている。
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なにがとは言わないが,こうした「プレイヤーとは何者なのか」というアイデアなどから,つい「パラノマサイト」を思い出す方もいることだろう。
メタ的なニュアンスは基本設定だけでなく,第1作,第8作のシチュエーションにおいても顕著に表れている。
たとえばシリーズの第1作「仮面幻想殺人事件」は,プレイすると死ぬという都市伝説を持つオンラインRPG「タクリマクス」の調査を進めるなかで,現実の殺人とゲーム内の怪現象がリンクする事件を追う内容となっている。
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さらに,第1作の意匠を引き継ぎ,強化された第8作「仮面幻影殺人事件」は,実在の街をモチーフにした日本初のMMO推理ゲーム「ミスティ・オンライン」上で発生した事件が,現実世界とリンクしてしまうという内容だ。
とくに第8作では「実際にゲームの中を探索/捜査する」パートや,ゲームだけでなく掲示板などで情報を集める演出が導入されている。
「推理ゲームの世界で推理ゲームを遊ぶ」「推理ゲームの世界の中の推理ゲームのプレイヤーが出没する掲示板をチェックする」といった体験は,純粋にユニークで面白い。
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また本作では,作中にレイヤー構造を設けることで「オンラインと現実でキャラクターの振る舞いが異なる」ことを端的に描写している。これを皮切りに本作は,登場するメインキャラクターたちの,表面的でない複雑な人物像を立ち上げている。
また,本作のテーマのひとつは「少年犯罪」である。ここまで描写されてきたギャップのあるキャラクター像は,プレイヤーが持つ「他者への先入観や偏見」を間接的にあぶり出す。そして前景化した「偏見や先入観」という概念は,「少年犯罪」の原因を一時的な流行,はたまた個人の生活環境と断定するような,世間による安直な解釈を浮き彫りにする。
つまり,本作は「レイヤー構造」を導入したことで可能となった一連の描写により,メインキャラクターの人物像の複雑さを高めつつ,同時に「少年犯罪」の原因を安直なイメージで解釈する(恐らく作品リリース当時の)潮流に警鐘を鳴らす。
本作を実際にプレイすると,「先入観や偏見」は近しい性質を持った「プレイヤーや主人公の推理におけるミスリード」という幻想としてプレイヤーの前に立ちはだかる。その幻想を超えた先に,真実が待ち受けているわけだ。その真実の正体は,ぜひご自身の手で確かめていただきたい。
このように「メタ的なアイデア」のエンターテイメントとしての楽しさを充分に引き出しつつ,作品のテーマに伴った効果や役割を的確に与えている点も,石山氏ならではの手腕を感じさせるポイントだ。
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なお,「探偵・癸生川凌介事件譚」シリーズおよび「パラノマサイト」に共通するメタ的な要素としては「ザッピングシステム」の存在も見逃せない。
次項では石山氏がしばしば見せる視点の表現に着目していこう。
ザッピングシステムの探究と,その機能
ザッピングシステムとは,複数の人物の視点を切り替えながらプレイヤーが物語を進めていく構造のことだ。ザッピングシステムを採用した作品において,プレイヤーの視点は限りなく超越的になる。
「パラノマサイト」における最終盤では,オプションのギミックと共に「ザッピングシステムにおけるプレイヤーは誰の視点なのか」を回収した点で優れていたし,驚かされた。
いっぽう探偵とは,限りなく俯瞰(メタ)的な視点が要求される存在である。刹那的な情動や先入観,偏見を超越し,客観的に共有可能な事実を追求する必要がある。
それゆえに,ザッピングシステムの視点は神や霊的な存在の視点のみならず「探偵の視点」でもあり,そもそも推理ゲームとの相性は良いのかもしれない。
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癸生川シリーズで最初に「ザッピングシステム」的なものが導入されたのは,第6作の「対交錯事件」だ。
本作は普段の主人公である生王正生の人探しと,癸生川の助手である白鷺洲伊綱による連続殺人事件が別々に進行し,やがてふたつの異なる事件が交錯していく。
先述のとおり,ザッピングシステムはプレイヤーにメタ的な視点を与える。その万能感に似た感覚を持ってゲームが進行していき,着々と「ふたつのまったく別の事件が強い関連性を帯びていく」体験は実に気持ちがいい。
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しかし,本作ではザッピングシステムが与える万能感を逆手に取った展開が待ち受けており,「メタ的なシステムの性質」を逆手に取り,昇華した作品となっている。
また,厳密にはザッピングシステムではないが,「複数のキャラクターの視点で物語を描く」という手法は,第9作「五月雨は鈍色の調べ」においても活用されている。
「五月雨は鈍色の調べ」は,現代パートの2004年から8年前の1996年を舞台に,癸生川が絶対的な信頼を寄せる相棒・白鷺洲涼二とともに,依頼人・螻川内(けらかわち)の「父に奪われたと思しき500万円」を巡る事件を描く作品だ。
本作では「対交錯事件」のような視点を切り替えるシステムが導入されていないものの,相手の心を見通す力を持つ白鷺洲涼二,そして少し愚鈍な依頼人・螻川内の視点が切り替わりながら物語が進んでいく。
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本作においても「複数の視点を持って出来事を追っている」という信頼感を逆手にとったトリックが用いられている。
こういった「対交錯事件」や「五月雨は鈍色の調べ」,そして「パラノマサイト」の例に着目すると,石山氏が推理ゲームにおける「メタ的なプレイヤーの視点」に着目し,探求してきたという系譜がうかがえるだろう。
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さらに「五月雨は鈍色の調べ」は,第4作「白鷺に紅の羽」と同じように登場人物の過去を掘り下げる物語だ。
刷新されたGUIや雨音のアンビエンスも相まって,ビターなドラマの魅力も凄まじい。癸生川や涼二の過去も描かれ,彼らの因縁の相手も登場する。
すなわち,シリーズが積み重ねてきた「コク」のような成分を高め,キャラクター表現の厚み,関係性の魅力をブチあげる作品なのだ。父と子の関係性を軸に「誰かを信じ,寄り添うこと」というテーマも雄弁に表現されているため,クライマックスとなる「永劫会事件」の前にぜひプレイしていただきたい。
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以上のように,ザッピングシステムにおけるメタ的な視点は6作め以降「永劫会事件」に至るまで引き継がれているし,そこではザッピングシステムならではの物語表現を実現している。
「永劫会事件」にて,複数の視点が語ること
ここからはようやく,傑作と名高い「永劫会事件」に触れていこう。
「永劫会事件」の舞台は,1999年。まさに「ノストラダムスの大予言」により滅亡が謳われた,陰惨な世紀末だ。
物語は,新興宗教の幹部を務める男性の死体が発見されるシーンで幕を開ける。
冒頭から「世紀末」という陰惨な時代のムードが宣言されており,本作はその宣言に相応しい,徹頭徹尾シリアスな物語が展開される。
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事件は「永劫会」と呼ばれる宗教団体を中心に展開されており,新興宗教団体によるテロ行為や信者への搾取,実際の性暴力事件などを彷彿とさせる群像が描かれる。
しかし,本作はそういったモチーフをただセンセーショナルに扱ったものではない。
それぞれのモチーフの意義や問題を単純化したり,ぞんざいに扱ったりすることなく明解に描き,同時に推理ゲームとしての魅力と共に提示している。だからこそ,本作は傑作と呼ばれていると思う。
ネタバレに触れるため,詳細は記述しないが,本作では「新興宗教団体」のリスクも描きながら,「信仰の意義」も同時に提示し,「実際の性暴力事件」にまつわる法や制度,性別に纏わる社会や文化の構造的な問題も暴く。
エンターテイメントとして作品を成立させながら,扱った主題をスリルや快楽のエッセンスのためだけに扱わず,その問題へ丁寧に焦点を当てる。こういった本作の姿勢は,誠実そのものだ。
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その誠実さには,ザッピングシステムが大きく貢献しているのではないだろうか。
本作においては,新米探偵の工藤貴樹,パートナーが新興宗教団体に入れ込んでいるというフリーライターの石上雅人,なにやら「人には打ち明けられない悩み」を抱え苦しむ大学生の妹浦澄佳,そして探偵と思しきとある人物の4人が主人公となっている。
本作においてプレイヤーは神の視点に近い立ち位置で,上述した4人の主人公の視点を借りて事件を追体験していく。出自,属性,性格,抱える信条は,当然ながら登場人物ごとに大きく異なる。
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物語を描く「視点」を担うキャラクターがひとりであれば,作中の出来事は単一の人物の信条に基づいて判断され,描写されるケースが多いだろう。
だが,もし作品の描写が主人公の視点に偏ったものであれば,主人公の思想や好悪が物語全体を支配し,それ以外の人物の存在や思想が後景化してしまう。そうなれば,主人公の価値観による評価や判断が,そのまま作品における「絶対の正解」として機能するリスクが生じかねない。
しかし本作では,ザッピングシステムを用いることで,プレイヤーは「抑圧する側」「抑圧される側」を含む,複数の人物の視点に立つ。これにより,プレイヤーは各視点を比較しながら,それぞれの出来事や描写と対峙できるのである。
この立体的な描写と複雑なトリックが並走することで,本作は表現としての強度とエンターテイメントとしての推理の魅力の双方を獲得しているのだ。
「ザッピングシステム」という手法を探求したひとつの答えが「永劫会事件」であり,同作の魅力や手つきは「パラノマサイト」にも引き継がれた“石山貴也氏らしさ”のひとつと言えるだろう。
![]() ちなみに,「癸生川が最後に全てを持っていく」構造は継承しているものの,本作では伊綱と癸生川がバディのように補うニュアンスに仕上がっている。非常に素敵 |
昨今ではクィアゲームなどを皮切りに,報道的なテーマや意義を有した作品が盛り上がっている。これらの潮流と似た性質の作品が,商業的な作品として約20年前に存在していた事実は,筆者に衝撃を与えた。
本作の先駆性の実態および詳細は,ぜひ実際に「永劫会事件」をプレイし,複数のキャラクターの視線を渡り歩くご自身の目で、確かめて頂きたい。
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石山貴也氏作品の心地よさ
ってか,最終的にこの記事って癸生川シリーズのレビュー? 「パラノマサイト」とあんまり関係ないじゃん!
そう思った人もいるかもしれない。だが,癸生川シリーズに見られるような石山氏の誠実さ,丁寧さは,「パラノマサイト」に通停する姿勢ではないかと思う。
というのも,「パラノマサイト」では「呪殺」や「生命の倫理を超えた執念」といった暴力性を有したモチーフが登場するものの,敵を除いたメインキャラクターたちは,プレイヤーが倫理的な嫌悪感を抱きづらいように描かれているのだ。
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たとえば「パラノマサイト」ではミソジニー的な殺人鬼を前フリ的に登場させることで,志岐間春恵や灯野あやめを,短絡的な現実の悪意とは切り離された,超越的な執念を抱く人物として表現されている。
また,過去の電ファミニコゲーマーによるインタビューでは,「メインキャラクターはできるだけみんな“いい人”」として意図的に描いているとし,下記のように語っている。
それはだれにでもいい顔をする人を指しているわけではなく,相手のことを尊重できる人,ありがとうやごめんなさいを言える人,注意するときに人格を攻撃しない人,みたいなことです。
たとえば,なにかをしようとしている人がいたらできる限り寄り添う。やろうとしていることがよくないことだったとしても,その人の気持ちは否定しない。そういう人間関係ってすごく居心地がいいと僕は思っているんです。
これは「プレイヤーの心地よさ」を考慮した工夫であるかもしれないが,石山氏が考える「いい人の条件」とは,「永劫会事件」において描き出した「他者を尊重する意識のない人々」の対概念のような存在だ。
そういった意識が,楽しく「呪殺バトル」を描き,プレイヤーをドキっと驚かせる展開が畳みかける「パラノマサイト」の心地よさを,ひっそりと支えているのではないだろうか。
繰り返しになるが,「探偵・癸生川凌介事件譚」シリーズの移植版は,Nintendo Switch,Steam向けに配信中だ。そしてシリーズVol.1〜10を収録したお得なバンドルパックもNintendo Switch向けに配信されている。
どうか「パラノマロス」を抱えるゲーマーたちの魂が,「探偵・癸生川凌介事件譚」シリーズにより再び満たされんことを。
そして願わくば,「パラノマサイト」の続編が発表されることを信じて……。
「パラノマサイト FILE23 本所七不思議」公式サイト
「G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 - 10 Bundle」公式サイト
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- ライター:りつこ

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