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伝説のバカゲー「炎の料理人クッキングファイター好」に出てきた,活火山麻婆豆腐を作る。俺のコラボカフェ:Menu 076
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4Gamerをご覧の皆様こんにちは。クッキングエンターテイナーの大西哲也です。様々なゲームに出てくる料理をプロの料理人が本気で作ったり,プロ目線で勝手に検証して発表したりする「俺のコラボカフェ」。今回もよろしくお願いします。
今回の題材は,1998年にPlayStationで発売された伝説的なゲーム「炎の料理人クッキングファイター好」です。
一時は「出荷数の少なさ+謎の中毒性」によってプレミア価格がついていた本作。のちに「ディスガイア」シリーズで大ヒットする日本一ソフトウェアの原点ともいえるゲームです。
実際,スタッフインタビューで「好があったからディスガイアが作れた」と語られるほど,開発陣にとっても思い入れのある一作なんだとか。
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物語は,若き料理人・ハオが“味魔王”なる伝説の料理人を追って,次々に現れる料理格闘家たちと勝負を繰り広げていくというもの。
料理の話のはずなんですが,食材を包丁で攻撃して調理したり,時には対戦相手を攻撃して料理を奪ったりと,バトルアクション要素が強く,料理を媒体にした熱血格闘劇といったイメージです。
本作には数多くの料理が登場しますが,プレイヤーの記憶に最も強く残っているのは,激辛料理人「スパイシー・アニス」の必殺料理「活火山麻婆豆腐」ではないでしょうか。劇中では,主人公ハオがその料理を口にし,こう評します。
「挽肉の旨み,豆腐の下ごしらえともに完璧。山ほど振りかけられた山椒が火山灰,肉汁たっぷりの挽肉が溶岩。中をくり抜いてトマトソースを詰め込んだ豆腐と煮えたぎったスープがマグマを表しているのか…さらに,ふんだんに使った豆板醤の辛さで,今にも頭が大噴火を起こしそうだっ!」
辛さと旨さ,そして“構造美”のトリプルインパクトです。火山に見立てた盛り付け,比喩的な味覚表現,そしてトマトソースという異物の挿入による化学反応。これは,長年麻婆豆腐の研究をしてきたプロの料理人から見ても,めちゃくちゃ面白い発想です。研究欲が湧いてきたので,早速作ってみました。
■材料
豚ひき肉 150g
豆腐 400g
ごま油30ml
豆鼓醤 30g
豆板醤 30g
醤油 30ml
紹興酒 30ml
鶏ガラスープの素5g
水100ml
砂糖 15g
トマト 1/2個(角切り)
ネギ 40g(みじん切り)
ニンニクの芽 2本(そぎ切り)
ニンニク 10g(みじん切り)
生姜 10g(みじん切り)
唐辛子 3本
花椒(パウダー) 好きなだけ
水溶き片栗粉 大さじ1
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実食
ゲーム内のビジュアルとは違いますが,ハオの発言を素に作るときっとこういうことだったのではと思います。まさに活火山のようですね。そして……恐ろしくおいしいです。
トマトの味がどうマッチするのか疑問でしたが,強烈なうま味と辛味のある麻婆豆腐をマイルドにする効果があります。混ぜすぎないように食べるのがポイントですね。非常に立体感のある味で,食感が絶妙です。過去に作った麻婆豆腐の中でも一番かもしれません。
その馬鹿馬鹿しさと熱血ぶりで“バカゲー”と称されることが多い本作ですが,活火山麻婆豆腐は,単なる激辛料理ではなく,構造,物語,インパクトを内包した「一撃必殺の料理」でした。プロとして料理に向き合う者にとっても,この遊び心と情熱は,学ぶところが多いと感じました。
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今回のテーマはいかがでしたでしょうか? 面白いと思ったり,実際に試したりした人は「#俺のコラボカフェ」「#COCOCORO」といったハッシュタグをつけてSNSに投稿してくれると嬉しいです。
それでは,またお会いしましょう。したっけ!
■■大西哲也(クッキングエンターテイナー)■■
あるときは,料理研究家,またあるときは,「COCOCOROチャンネル」のYouTuber,しかしてその実体は……,料理を通じて多くの人を喜ばせたいと日々奮闘する,クッキングエンターテイナーだ! 今回の麻婆豆腐は,「今までの研究成果として非常に満足,さらにこれからさらなる研究意欲も湧いてきた』とのことで,シェフの料理魂も火山のように煮えたぎっているようです。
※次回の掲載は2025年6月28日を予定しています
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