そうだ アニメ，見よう：第236回は学園マジカルコメディ「ウィッチウォッチ」。原作愛溢れる，YOASOBIのオープニングアニメは必見

　「SKET DANCE」や「彼方のアストラ」など，数々のヒット作を生み出してきた漫画家・篠原健太氏。その篠原氏が「週刊少年ジャンプ」で連載中の「ウィッチウォッチ（WITCH WATCH）」（ジャンプ コミックス/既刊21巻）も，累計発行部数が300万部を突破している人気作だ。「次にくるマンガ大賞2022」のコミックス部門では第2位を獲得している。

　というわけで，「そうだ アニメ，見よう」第236回のタイトルは，同作をアニメ化した「ウィッチウォッチ」（毎週日曜17：00〜TBS系全国28局ネット）。制作はバイブリーアニメーションスタジオ，シリーズ構成は「古見さんは、コミュ症です。」や「シャドウバース」などの赤尾でこ氏が担当。監督は「宇宙戦艦ティラミス」や「ダークギャザリング」の博史池畠氏が務めている。

「ウィッチウォッチ」

　高校生の乙木守仁（CV：鈴木崚汰）は，鬼の力を先祖から受け継いだ少年だ。ある日，幼馴染みの少女・若月ニコ（CV：川口莉奈）が魔女としての修業を終え，6年ぶりに彼の元へ帰ってきた。

　古い盟約に従い，守仁はニコの使い魔となり，2人は同居することになる。実は，ニコには「1年以内に災いが起きる」という予言がされており，それを防ぐため守仁が護衛を務めることになったのだ。
　いっぽう，そうとは知らず守仁との再会に胸をときめかせるニコ。人の役に立つ立派な魔女を目指してはいるが，ドジでおっちょこちょいな性格のため，魔法によるトラブルを起こしてしまう。


　守仁と一緒に入学した「私立翌檜高等学校」でも，たちまち“魔女”と“鬼”であることがクラスメイトに知られるが，意外なことにすんなりと受け入れられた。学園生活を始めたニコは，クラスメイトの悩み事を魔法で解決しようとするが，ここでも騒動を巻き起こし，守仁を悩ませるのだった。


　そんなある日，2人の前に仮面をつけた謎の少年が現れる。風祭監志（CV：天﨑滉平）と名乗る少年は，ニコが魔女の修行中に仲良くしていた少年で，彼もまた“天狗”の血統を持つという。
　「学び舎に敵あり」という新たな予言からニコを守るため，監志も使い魔となり，3人での同居生活が始まるが……。

“濃い”キャラクターたちの群像劇

　本作は，ドジな見習い魔女と彼女の使い魔たちが織りなす，学園マジカルコメディだ。主人公のニコは，多種多様な魔法を使えるのだが，褒められると調子に乗ってしまう性格が災いし，すぐに“問題”を起こしてしまう。
　例を挙げると，物体を平べったくする魔法「ペラペランコ」を自分にかけて，風で飛ばされたり，対象物を大きくする魔法「ビッグーン」を守仁の頭にかけてしまったりする。魔法の効果は長時間持続しないが，そのたびに使い魔（主に守仁）たちやクラスメイトたちが，右往左往するわけだ。


　連続2クールで描かれるアニメは，原作の1〜3エピソードを1話に詰め込み，かなりテンポよくストーリーが進行する。ニコや守仁ら使い魔たちの同居生活や，学園での日常シーンをメインに物語が展開されるのだが，その内容はバラエティに富んでいて，飽きることがない。
　というのも，本作はメインキャラクター以外にもクラスメイトや教師，生徒会長・清宮天流（CV：松岡禎丞）をはじめとした生徒会の面々，魔女の仲間など，とにかく個性的な人物たちが，これでもかと言うほど登場するからだ。


　篠原氏のヒット作「SKET DANCE」でも，多彩な登場キャラクターが魅力のひとつとなっていたが，本作でもその持ち味は健在だ。キャラクターのネーミングも，カラッとした性格の南 伽羅（みなみ から，CV：高橋李依）や，腹を壊しがちな原 毅（はら こわし，CV：石谷春貴）と，シンプルなもので覚えやすい。

　そんな“濃い”人物たちとニコたちが巻き起こす騒動に加え，ラブコメやシリアスなエピソードなど，さまざまな要素を詰め込んだ“闇鍋”のような作品が，本作「ウィッチウォッチ」なのだ。


　ちなみに，第6話「縁結びの樹の下で」はある樹木をめぐる，ニコと守仁のラブコメ回となるのだが，どこかの恋愛アドベンチャーゲームのようなこのタイトルに，4Gamerの読者ならピンと来た人もいるはず。
　じつは，篠原氏は漫画家になる前はKONAMIに勤務しており，「ときめきメモリアル 対戦とっかえだま」や「筋肉番付」シリーズなどを手がけていたとか。その時の経験が，このお話が誕生するきっかけになったのかもしれない。

美人教師の裏の顔

　多彩なキャラクターが魅力の本作では，1人の人物への掘り下げも見どころとなる。例えば，ニコたちのクラスの担任・真桑悠里（CV：小松未可子）は，クールビューティーな美人教師だが，素の彼女は同人誌を買い漁るほどのガチオタなのだ。
　第5話「教え子が推し絵師だった件」では，そんな彼女が教え子の嬉野久々実（CV：小原好美）が推し絵師であることを知り，思わず暴走する姿を描いている。


　ほかにも，サブカル好きのマガミケイゴ（CV：石川界人）や，魔女の宮尾音夢（CV：楠木ともり）など，気になるキャラクターたちのフィーチャー回も放送された。自分のお気に入りのキャラクターの放送回が待ち遠しくなりそうだ。
　なお，真桑先生のエピソードはこの後，作中漫画「うろんミラージュ」を含めて，どんどん話が発展していくので，覚えておくと面白いかも。

原作愛にあふれるオープニング

　本作の制作を担当しているのは，「アズールレーン」や「グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION」などを手がけたバイブリーアニメーションスタジオだ。同スタジオは，デビュー作の「アズールレーン」でも高い技術を披露していたが，今回もその力を存分に発揮している。

　なかでも前半のオープニングアニメは，今シーズンでもトップクラスの完成度。YOASOBIによるオープニング主題歌「Watch me!」に乗せて，さまざまなキャラクターがのびやかに躍動する映像は，原作愛にあふれる仕上がりで，喜んでいるファンも多いはず。オープニング＆エンディングのノンクレジット映像も公開中だ。

前半戦のクライマックスが終了

　前半部分のクライマックスとなる第12話「犬と雨滴・後編」が放送された。意外な人物の真の姿や，ニコの秘密が明らかになった。今後も黒魔女（ウォーロック）たちの動向が守仁たちを悩ませそうだ。
　ともあれ，ニコたちの波乱に満ちた同居生活は，まだまだ続きそうな雰囲気。難しいことを考えずに，頭を空っぽにして視聴できるコメディ部分も，またしばらくは楽しめそうだ。

　なお，後半クールのオープニング楽曲「ときはなて！」（歌：はしメロ）を確認できるPV（リンク）も公開されている。前半部分のネタバレが多少含まれているので，まだ第12話を観ていない人は注意しよう。

TVアニメ「ウィッチウォッチ」公式サイト

TVアニメ「ウィッチウォッチ」公式X

放映データ
2025年4月〜毎週日曜17：00〜TBS系全国28局ネット

キャスト
若月ニコ：川口莉奈
乙木守仁：鈴木崚汰
風祭監志：天﨑滉平
マガミケイゴ：石川界人
宮尾音夢：楠木ともり
真桑悠里：小松未可子
南 伽羅：高橋李依
嬉野久々実：小原好美
清宮天流：松岡禎丞
伊武 荊：沢城みゆき
剣持弓弦：福山 潤
シロップ：釘宮理恵
クロミツ：久野美咲
工 理路：日髙のり子
バースト：三宅健太
西古凶奇：福島 潤
酒井大樹マークII：緑川 光

スタッフ
原作：篠原健太（集英社「週刊少年ジャンプ」連載）
監督：博史池畠
副監督：川瀬まさお
シリーズ構成：赤尾でこ
キャラクターデザイン：飯塚晴子
サブキャラクターデザイン：杉村价秋、沢 友貴
美術監督：薛 平（草薙）
美術設定：竹内柚紀（草薙）、新妻雅行（千住工房）
色彩設計：太田ゆいは
撮影監督：米澤 寿
編集：武宮むつみ
音楽：橋本由香利
オープニング楽曲：YOASOBI「Watch me!」
エンディング楽曲：Aooo「魔法はスパイス」
音響監督：郷文裕貴
音響制作：ビットグルーヴプロモーション
アニメーション制作：バイブリーアニメーションスタジオ
(C)篠原健太／集英社・ウィッチウォッチ製作委員会・MBS

■Blu-ray情報

TVアニメ「ウィッチウォッチ」Blu-ray 第1巻
（数量限定生産）
2025年7月30日(水) 発売

9,350円(税込)/ 8,500円(税抜)/ SHBR-0776

収録内容
本編（第1話〜第3話）収録　※本編＋特典尺未定

映像特典
先行上映イベントドキュメント

封入特典
ペラペラうちわ

外装
アニメ描き下ろしアウターケース
発売・販売元：松竹
※商品仕様、デザイン等は予告なく変更になる場合がございます。