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「視覚的な不完全さ」が恐怖心を刺激する。今遊びたい,傑作ローポリホラーゲーム特集
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印刷2025/06/13 07:00

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「視覚的な不完全さ」が恐怖心を刺激する。今遊びたい,傑作ローポリホラーゲーム特集

 あえて少ないポリゴン数でモデルを構築する3DCG表現,ローポリゴン(Low Polygon)
 とくにゲームでは,ノスタルジーに浸るためのレトロな表現技法としてお馴染みだが,昨今では特にホラージャンルでの採用が目立ち,“ローポリホラー”なる作品が続々と生まれている。

 多くを語らぬグラフィックスは,曖昧な見た目だからこそ潜在的な不安を掻き立てる。そこから生まれる言い知れぬ恐怖感と味わい深さは,フォトリアルを追求したホラー作品からは摂取できない栄養素に満ちている。

 今回は,そんな独特の魅力を持つ珠玉のホラー作品を一挙に紹介しよう。ローポリホラーは直接的な恐怖ではなく,じわじわと来る“不気味”さをウリにしているタイトルが多いので,ホラーものは苦手という人でも手に取りやすいと思われる。なので,我こそは怖がりさんという人もぜひチェックを!

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「Back in 1995」

機種:PC / PS4 / Xbox One / PS Vita / Switch / 3DS
発売:2016年4月29日
価格:998円(税込・Steam版)


 約9年前にリリースされた古いタイトルだが,昨今のローポリゲームブームの“発端”とされることもあるだけに,紹介しておきたい。
 「Back in 1995」は,「初代PlayStation世代の3Dゲームのプレイ感覚を現代に取り戻す」というコンセプトで制作されたアドベンチャーゲームだ。本作では,32bit世代のローポリゴン3Dグラフィックスのみならず,ポリゴン黎明期特有のテクスチャの歪みまでもが,現代の技術で再現されている。

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 コンセプトで明言されているように,当時のゲームを思わせるプレイフィールも特徴だ。キャラクターの移動はラジコン操作なうえ,攻撃アクションはモッサリ。視点変更は効かず,限られた視界で探索を行わねばならない。

 現代基準で見れば決して遊びやすいとは言いがたい仕様だが,PlayStationやセガサターンで青春を謳歌したゲーマーにとっては,懐かしのプレイフィールを味わえる貴重な作品だ。未経験の層からすれば,新しいゲーム体験を味わえる一作,という見方ができるかもしれない。

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 本作では1995年の世界を舞台に,主人公ケントがタワーを目指すストーリーが描かれていく。目的地となるタワーへの道のりは基本的に一本道であるが,タワー内の探索,モンスターとの戦闘のほか,ちょっとした謎解き要素も用意されている。

 当時のゲーム体験を楽しむことに重きが置かれているため,ホラーものとしての怖さはあまりない。ホラーものを求めている人よりも,懐かしのグラフィックスや独特の操作感,理不尽なゲーム性を味わいたい人にオススメな1本だろう。

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「Mouthwashing」

機種:PC / PS5 / Switch
発売:2024年9月27日
価格:1500円(税込・Steam版)


 ゲームのクリア後は,達成感や爽快感といったポジティブな感情が湧くものだが,「Mouthwashing」がプレイヤーに与えるのは,やり場がなく後味の悪いドス黒い感情だ。本作はいわゆる鬱展開もので,クリア後にもう一度プレイする気力は湧かないのだが,この狂気の物語は“なぜか人に勧めたくなってしまう”タイトルだったりする。

 そんなプレイヤーが多かったためか,リリース以降,本作は瞬く間に話題となり販売本数は50万本を突破している。めでたい!

爽やかさ120%のタイトルに騙されてはいけない。このゲームにハッピーエンドなんてものはない。あるのは苦痛の旅だ
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 「Mouthwashing」は,難破した宇宙貨物船に閉じ込められたクルーの行く末を追う,一人称視点のアドベンチャーゲーム。物語は宇宙船が小惑星に追突する場面から始まり,なぜそうなるに至ったかの回想をはさみながら,船長カーリーと副操縦士のジミーの視点で進行していく。ときおり簡単なミッションやミニゲームをはさむものの,いずれも難度は高くなく,ストーリーをメインに楽しむ作りになっている。

 前半パートではクルーとのお誕生日パーティを楽しむだけの和やかさがあるものの,そこから始まる急転直下の衝撃展開の数々が,プレイヤーのメンタルをゴリゴリと削っていく。楽しかったころのモノローグにさしこむように,温度差の激しいエピソードがぶっ込まれるので,まぁ感情が追いつかない。

衝突事故によって四肢を切断,皮膚は焼けただれ,口を利くこともできなくなった船長カーリー。口を開けさせ鎮痛剤を飲ませるのだが,この音がめちゃくちゃリアルでねぇ……
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 船に残された電力と食糧はわずかで,クルーたちは娯楽のない閉鎖空間で極限状態にさらされている。精神を蝕まれ思いも寄らぬ行動に出る者,現実と妄想の区別が付かない者,復讐に燃える者など,サイコスリラー色全開の後半パートには,さらなる展開が待ち受けている。

 しかも,責任重大なシーンではプレイヤーに操作をゆだね,意図的に罪悪感を味わわせてくるニクイ演出つき。そのシーンのどれもがエグく,終始「やばい」「うそでしょ?」「それ,やらせる?」と筆者はわめきっぱなしだった。完走すればきっと分かる,本作ほど“狂気”という言葉が似合うゲームはない。

 アドベンチャーものとなれば,プレイヤーの選択によって展開が変化するマルチエンディングを採用するケースが多いが,本作には展開を大きく左右する選択肢はなく,エンディングはなんと1種類のみ。それでもなお,多くのプレイヤーの記憶に残り続けているのは,強烈な物語を効果的に魅せた開発者の手腕にほかならない。とにかく,物語の見せ方がうまいのだ。

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 本作のグラフィックスは,ほかのローポリ作品に比べても人物の表情を読み取りやすいキレイめな質感だ。ショッキングなシーンが割と多いものの,ほどよいローポリグラフィックスのおかげで,グロさがいくらか和らぐのがありがたい。とはいえ,グロ系が苦手な人にとっては完走が難しい演出が多々あるので,免疫がない人はよくよくリサーチして購入を検討しよう。



「Paratopic」

機種:PC / Xbox Series X|S / Xbox One / Switch
発売:2018年9月7日
価格:795円(税込・Steam版)


 「Paratopic」をご存じでない? ならば悪いことは言わない。この記事を一旦閉じ,ストアの紹介テキストにも目もくれず,ゲームを起動してみてほしい。クリア後には,言葉にしがたい不安感とともに「なんだこりゃ」という感想が浮かぶことだろう。

 「お前,敵がいるみたいだな」の一言から始まる物語は,収容施設での尋問シーンからダイナーへと移り,気づけば車を運転する車内へと,唐突にシーンが切り替わっていく。本作の物語はこうして場面をコロコロと変え,説明もなくプレイヤーを振り回していくので,頭から終わりまで一度プレイしただけでは,何が描かれた作品であるかを到底理解できないのだ。

全体的にグラフィックスは粗く簡素だが,顔のテクスチャはリアル路線。シンプル構造な体とのチグハグさがいい味を出している
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 「Paratopic」では,不可思議な力が宿るVHSテープを密輸する者,森で珍しい鳥を見つけ写真に収める者,怪しげなダイナーでとある男を殺害する者,この3人の物語が描かれる。シーンごとに断片化されたストーリーをスマッシュカットによってつなげ,1つの作品にまとめた実験的なアドベンチャーゲームだ。

 人物も時系列もつながらない,突拍子もないシーンの連続はプレイヤーに不安感を与え,ローポリゴンの不鮮明なグラフィックスが不気味な空気感を演出する。自身が何者なのか,何をさせられているのか,目の前で何が起きているのか,何ひとつ分からない。文章にしてみると大したことがなさそうだが,実際に体験するとこれがけっこう怖いのだ。

やたらとVHSをねだるご近所さんに根負けし,1本だけねと渡したあとの展開がトラウマ。わけが分からなくて,ごわがっだよう……
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 人物ごとのシーンをつなぎ合わせ,それぞれの物語をプレイヤー自身が考察して初めて旨味が出るのが「Paratopic」というタイトル。作中に散りばめられた違和感を拾い集め,開発者の意図を想像しながら自分なりの答えを導き出す。その過程を楽しめる人ならば,ガッツリと刺さるが,実験的な作りゆえ人を選ぶ作品かもしれない。

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「That Which Gave Chase」

機種:PC
発売:2023年6月24日
価格:580円(税込・Steam版)


 北極圏の凍土を舞台にした物語重視のアドベンチャー。プレイヤーは犬ぞり操縦者(マッシャー)として,かつて探検を断念した科学者を目的地まで運ぶことになる。一人称視点で物理演算ベースの犬ぞりを操作し,横転に注意しながら起伏に富んだ雪原を探索していく。

グラフィックスは粗いながらもアニメーションはなめらか。ソリを引く犬たちを撫でられるのが最高だ
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 物語の見せ方は「Paratopic」に似ており,マッシャーに関連した記憶が時系列に関係なくフラッシュバックし,プレイヤーはその記憶を体験していく。それこそ昼の雪原から急に夜の雪原に場面転換したり,乗っているはずの科学者の姿が消えたり,銃を手にした瞬間,森での狩りのシーンへと飛ぶこともあり,とにかくせわしない。

 序盤は場面転換の唐突さにとにかく戸惑う。だが,物語がつながり確かな輪郭を表す頃には,自分が辿った軌跡が“意味のあるもの”であったことに気づき,「That Which Gave Chase」の世界にズブズブとのめりこんでいる。理解できた瞬間に生まれるカタルシスがとても心地いいのだ。

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 横転すると一発アウトなチェイスシーンがあるものの,ゲームとしての難度はそこまで高くはない。あくまで,雪原に漂う異様な空気感と謎に満ちた物語を味わうのがメイン,ということなのだろう。

 ホラーもの特有の視覚的な恐怖はないし,ジャンプスケアもない。そんなわけで分かりやすいホラー要素がないのだが,雪原に立ちこめる不穏な空気,不安をかき立てるような音の演出がホラー作品らしさを見事に演出している。分かりやすい怖さはないが,肌にまとわりつくような不気味な空気感はぜひ味わってみてほしい。

この世界で一番怖かったのは,ローポリおっちゃん(科学者)の不穏な笑顔
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「Stay Out of the House」

機種:PC / PS4 / Xbox Series X|S / Xbox One / Switch / iOS / Android
発売:2022年10月14日
価格:1520円(税込・Steam版)


 「Stay Out of the House」は,80年代スラッシャーホラーの悪夢を現代に蘇らせたステルスホラーゲーム。人食い殺人鬼が住む恐怖の館を舞台に,殺人鬼ブッチャーの魔手から逃れながら脱出を目指していく。これは,怖いか怖くないかで言ったら,絶対に怖いやつだ。

 ローポリゴンで描かれた曖昧でいて不気味な世界は,プレイヤーの想像力を刺激し,恐怖を増幅させる。劣化したビデオ映像のようなエフェクトが特徴的で,1980年代の映画の世界に飛び込んだような感覚を味わわせてくれる。

グラフィックス設定によって,フィルタをVHS,1999,1995,16mmに切り替えられる。VHSと16mmは雰囲気がいい反面,文字の判読が困難なのが惜しいところ
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 全4章から成る物語は,2章までがプロローグであり,殺人鬼に監禁される3章がステルスホラーの本番となる。プレイヤーは囚われの身であるロクサーヌを操作し,殺人鬼たちの監視をかいくぐりながら,道具やアイテムを集めて脱出の手立てを整えなければならない。

 迷路のような館には,ワイヤートラップにトラバサミ,監視カメラもありと,なかなかに手ごわい。ひとたび殺人鬼に見つかれば甲高い奇声と共に斬りつけられるので,セーフティエリアへと駆け込む瞬発力も重要だ。

1章はコンビニでの夜勤バイト,2章はロクサーヌが殺人鬼の館に迷い込むストーリーを体験できる
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ブッチャーに見つかると画面にノイズが走る。斬りかかられる前にダッシュで撒こう
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細かな難度設定もポイントで,敵に気づかれにくいEASY,殺人鬼たちが登場しないEXPLOREが用意されているのがうれしいところ。HARDになると空腹や喉の渇きといったステータスも追加され,脱出がさらに困難に!
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「No one lives under the lighthouse Director's cut」

機種:PC / PS5 / PS4 / Xbox Series X|S / Xbox One / Switch
発売:2020年4月22日
価格:720円(税込・Steam版)


 海鳥の鳴き声が響く荒涼とした孤島で,プレイヤーが1人きりの灯台守となるホラーアドベンチャー。灯台守の仕事は錆びついた灯台に明かりを灯し続けること。ただ,これだけだ。

角張ったモデルと低解像度のテクスチャが生み出す不気味さは,高精細なグラフィックスでは表現し得ない味に富んでいる。この陰鬱な空気感がゾクゾクする
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 前任者が消えてしまったため,灯台守としての業務を教えてくれる者はいない。自ら無人の島を探索し,鍵とランタンを手に夜の灯台へと足を運ぶ。日常業務としてこなすべきは,灯台への燃料補給と点灯作業だ。

 日の出まで灯台を動かし続けていればあとは自由で,孤独に耐えられなくなったら蓄音機でイケてる音楽を鳴らせばいい。親切なチュートリアルなんてものはなく,プレイヤーの観察力と想像力だけが真実への道標となる。

 行えるアクションは移動,ダッシュ,インタラクトくらいで,操作はいたってシンプル。インタラクト可能なものはハイライト表示されているので,くまなく見て回れば次なる目標を見つけられるようになっている。

プレイヤーキャラに台詞がないぶん,海の咆哮,風の唸り,沈黙,そして蓄音機の音色が恐怖をかき立てるスパイスとして作用する。孤独を紛らわせるはずの音色は,ときに歪み,不気味な不協和音を奏でる
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 燃料を補給し,明かりを灯すだけの単調な毎日が続くかと思いきや,異変が起き始める。朝目覚めると,灯台の鍵が消え,小屋の床には黒いシミが広がり,道具が散乱しているのだ。自分以外に誰もいないはずの孤島で起きる不可解な現象の数々は,現実と幻想の境界を揺るがし,プレイヤー自身を灯台守の狂気へと同調させていく。
 なお,本作にジャンプスケア要素はないものの,孤島で起きるあらゆる異変によって怖さがジワジワと増していく。

 前任者の失踪,地下室の秘密,迫りくる脅威の正体は一体……? 3つのエンディングを制覇し,その謎を考察してみよう。

特定のタイミングが始まる異形との鬼ごっこが心臓に悪い。ラジコン操作がままならず,何度もひき倒された
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「THRESHOLD」

機種:PC
発売:2024年11月20日
価格:1149円(税込・Steam版)


 肌にまとわりつく異様な空気感。検問所に響く列車のアラーム。「THRESHOLD」は,にじり寄る精神的恐怖に背筋をゾクゾクとさせられるホラーアドベンチャーだ。

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 寂れた国境検問所に技官として派遣されたプレイヤーは,列車の運行管理を任される。技官として課せられる仕事はなんてことない,笛を吹くだけだ。簡単な仕事のように見えるが,国境検問所は空気の薄い高山地帯にあり,酸素は貴重品。声での会話はままならず,ひとたび走れば酸欠状態に陥るような環境にある。大量の酸素を消費する笛吹きは,まさに命がけの業務なのである。

笛を吹けば列車が加速する。目標速度に到達するまで,連続で笛を吹くこともある。すると死にかける
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 列車が減速すれば笛を吹き,報酬のチケットと引き換えにガラス製の空気缶を得る。酸素が足りなくなれば空気缶を噛み砕いて命をつなぎ,また笛を吹く。ときおり水路に溜まる不純物を取り除き,水路の管理もしながら業務にあたる。それだけでいい。たとえ,前任者の墓を見つけても,血塗りのメッセージを見つけても,空から何かが降ってこようとも気にしてはいけない。それが検問所の掟だ。

 掟に従うも背くも,プレイヤー次第。列車が何を運び,自分が何をさせられていたかは,真実を求めなければ明らかにはならない

空気缶を使うたび,プレイヤーキャラの口が血まみれになっていく。これを使い続けたらどうなってしまうのだろうか……?
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 PlayStationやNINTENDO 64を彷彿とさせる粗くも味のあるグラフィックスが,絶え間ない不安感を生み出す独特のムードを作り出している 。キャラクターの顔は判別できても,表情までは読み取れない簡素さ。相手がどのような感情を抱いているか分からない無の表情は,作品の不気味さを増長させている。

 ミニマルなサウンドデザインも印象深く,列車の走行音や速度計のアラート音といった無機質な音は,プレイヤーの孤独感をより強める。そこに酸素を欲する荒い呼吸音が加わると,プレイしている自分までもが息苦しさを感じてしまう,不思議な没入感が生まれる。ジャンプスケアには頼らず,じわじわと精神を侵食する心理的な恐怖が持ち味の作品なので,ホラーものが苦手でも手に取りやすい作品だ。

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