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スマートフォン向け最上位SoC「Snapdragon 8 Elite Gen 5」が発表に。最大4.6GHz駆動CPUコア採用で性能向上
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Snapdragon 8 Elite Gen 5は,2024年10月に登場した「Snapdragon 8 Elite」の後継製品だ。製品名だけ見ると,Snapdragon 8 Elite Gen 5で,一気に4世代もの進化を遂げたように思えるがそうではない。
Qualcommは,2021年以降,グレードを表す1桁の数字と世代番号を組み合わせて,製品名を付けており,この命名規則にしたがえば,Snapdragon 8 Eliteは本来,「Snapdragon 8 Gen 4」になるはずだった。しかし,Qualcommによると,第2世代Oryonを採用したCPUの大幅な性能向上をアピールすべく,世代番号ではなく「Elite」という名称に変更したという。
Snapdragon 8 Elite Gen 5では,これまでの命名規則に立ち返り,世代番号を再び採用することで,一般消費者が製品ラインナップを理解しやすくしたとのこと。つまり,Snapdragon 8 Elite Gen 5は,2021年のフラグシップSoC「Snapdragon 8 Gen 1」から数えて5世代めの製品ということを示している。
ただ,Qualcommは,Snapdragon 8 Elite Gen 5とは別に「Snapdragon 8 Gen 5」というSoCを提供することも予告しており,はたして本当にラインナップが正しく伝わるかどうかは分からない。
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最大4.6GHzで駆動する第3世代Oryon
Snapdragon 8 Elite Gen 5のCPUコアである第3世代Oryonは,動作クロックの引き上げを重視して開発をすすめたという。Snapdragon 8 Elite Gen 5は,最も高速な「Prime Core」(プライムコア)が2基,高性能コアが6基という8コアCPUで,Prime Coreは最大4.6GHz,高性能コアが最大3.62GHzで駆動する。
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さらに分岐予測や命令を先読みするプリフェッチの改善などにより,前世代のSnapdragon 8 Eliteと比べて,シングルスレッド性能が20%,マルチスレッド性能が17%向上したという。
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Snapdragon 8 Elite Gen 5のGPU「Adreno」は,スライスアーキテクチャを採用し,論理的な3つのスライス(ブロック)に分かれている。同じスライスアーキテクチャを採用するSnapdragon 8 Eliteの同名GPUは,1.1GHzで駆動していたが,Snapdragon 8 Elite Gen 5では,1.2GHzに引き上げられている。
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また,Snapdragon 8 Elite Gen 5は,GPU用の新たなメモリ階層となる「Adreno High Performance Memory」(HPM)を導入した。容量は18MBで,おそらく従来のGPU用キャッシュメモリのような働きをすると思われる。Qualcommによると,Adreno High Performance Memoryを導入することで,メモリ帯域幅の拡大とレイテンシの削減を実現するという。
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Qualcommによると,「NARAKA: BLADEPOINT Mobile」や「Arena Breakout」,「ディアブロ イモータル」といったゲームにおいて,メモリ帯域幅が最大38%向上し,さらに電力消費を10%抑えたそうだ。
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また,「崩壊:スターレイル」のような,SoCの処理性能が求められるゲームを長時間プレイする場合では,カットシーンのレンダリング速度が向上するほか,フレーム落ちが減少し,安定して動作するとのこと。
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こうした改良により,Snapdragon 8 Elite Gen 5は,Snapdragon 8 Eliteと比べて,最大23%の性能向上と,最大20%の電力効率向上を実現するという。
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AI処理を行う「Hexagon NPU」も改良されている。詳細なアーキテクチャの変更点は,明らかになっていないが,Qualcommによると,前世代から設計を根本的に見直したそうだ。その結果,AI処理の性能が37%向上した。
また,AI処理の学習や推論で用いる8bit浮動小数点数(FP8)や2bit整数(INT2)といった精度の処理に対応したのもポイントだ。
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画像処理を行うISP(Image Signal Processor)である「Spectra ISP」は,扱えるビット深度20bitとなり,処理できる色や光のダイナミックレンジが従来の4倍に広がったという。
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また,Snapdragon 8 Elite Gen 5は,新しい映像コーデックである「APV」(Advanced Professional Video)にも対応した。APVは,Samsung Electronicsが主体となって策定するコーデックで,ビットレートの高い映像をロスレス保存できる点や,ロイヤリティフリーで利用できるのが特徴とのこと。
Snapdragon 8 Elite Gen 5を搭載したスマートフォンは,2025年9月26日にXiaomiが,フラグシップモデルの「Xiaomi 17」をすでに発表済みだ。今後もSamsungやASUS,RedMagic,ソニーなどのメーカーから搭載製品が登場する予定だ。
QualcommのSnapdragon 8 Elite Gen 5製品情報ページ
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