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32型4K/240Hz表示のハイエンド機から比較的安価な製品まで,量子ドット有機ELディスプレイを積極展開するMSI
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印刷2025/05/28 20:29

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32型4K/240Hz表示のハイエンド機から比較的安価な製品まで,量子ドット有機ELディスプレイを積極展開するMSI

 MSIは,2025年以降のゲーマー向けディスプレイで,Samsung Display製の量子ドット有機EL(QD-OLED)パネルをメインに採用していく方針を打ち出した。そのうえで,有機ELパネルに付き物の寿命問題については,独自の対策を施して対応していく戦略を取っている(関連記事)。
 本稿では,COMPUTEX 2025のMSIブースで披露されていたゲーマー向けディスプレイの中から,とくに注目すべき製品にスポットをあてたい。

ゲーマー向けディスプレイ展示コーナーには,今回,13インチタッチディスプレイを前面に搭載したデスクトップPC「MEG Vision X AI」も展示されていた
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32インチ4K有機ELで240Hz表示の新ディスプレイ「MPG 322URX QD-OLED」


 4K解像度の32インチディスプレイは,一般的なPC用途やeスポーツ以外のゲームを楽しむゲーマーから引き合いが多いジャンルだ。デスクトップ画面をドットバイドットで表示しても見やすいし,そこそこ大画面感があるので,没入感に優れたゲームプレイを体験できる。

 COMPUTEX 2025でMSIは,解像度3840×2160ピクセル(以下,4K)の量子ドット有機ELパネルを採用した「MPG 322URX QD-OLED」(以下,MPG 322URX)を出展していた。
 北米市場では1100ドル前後(税別,約15万8500円)で先行販売しているが,日本での発売時期は,2025年末頃とのことだ。

MPG 322URX
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 応答速度は0.03msで,垂直最大リフレッシュレートは,4K有機ELディスプレイでは上位クラスの240Hzだ。
 4K/480Hz対応を謳う有機ELディスプレイもあるが,実際にそれらの製品は,480Hzで表示できるのは解像度が4K未満の,いわゆる「デュアルモード」の話だ。一方,本機の4K/240Hzは,現状の4Kディスプレイとしては最上位クラスのスペックといえる。

基板収納部は厚みがあるものの,左右に広がるパネル部分は非常に薄い。見映え的にも美しい
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 MSIは,「MPG 321URX QD-OLED」(以下,MPG 321URX)という製品を2024年に発売しており,MPG 322URXは,そのマイナーチェンジ版に相当する。

 MPG 322URXにおける進化点は,DisplayPort入力端子がDisplayPort 2.1a規格に対応したところ。MPG 321URXは,DisplayPort 1.4aだった。
 DisplayPort 1.4aまでだったMPG 321URXでは,4K/240Hz映像を入力するには,不可逆圧縮技術である「Display Stream Compression」(DSC)を使う必要があった。一方,DisplayPort 2.1a規格では,1レーンあたりの伝送速度が引き上げられて,最大80Gbpsの非圧縮伝送が可能だ。MPG 322URXなら,4K/480Hzの映像を非圧縮で伝送できるわけだ。
 一応,映像技術の規格化団体であるVESAは,「DSC圧縮による画質劣化と遅延は,人間には知覚できない」としているが,非圧縮映像伝送にこだわる人には,嬉しいポイントだろう。

 そのほかのスペックは,デジタルシネマ向け色空間規格「DCI-P3」のカバー率は99%,SDR映像の色空間規格「sRGB」のカバー率138%に達する。NVIDIA独自のディスプレイ同期規格「G-SYNC Compatible Monitors」の認証も,取得する予定という。
 HDR映像表示機能は,VESAの「DisplayHDR True Black 400」認証を取得しており,動画のブレなさを示すVESAの「ClearMR 13000」認証(99.2%)も取得しているそうだ。MSIの独自の有機EL寿命保証機能としては,「OLED CARE 2.0」を備える。
 映像入力インタフェースは,DisplayPort 2.1a×1,HDMI 2.1×2,DisplayPort Alternate Mode(以下,DP Alt)対応のUSB Type-C×1を装備。そのほかに,USBハブ用としてUSB 3.0 Type-B×1と,USB 3.0 Type-A×2,サウンド用の3極3.5mmミニピンヘッドフォン出力も備える。

MPG 322URXのインタフェース部
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量子ドット有機ELゲーマー向けディスプレイの入門機


 次に紹介する「MAG 272QPW QD-OLED X28」(以下,MAG 272QPW)は,27インチサイズで解像度2560×1440ピクセルの量子ドット有機ELパネルを採用したゲーマー向けディスプレイだ。

MAG 272QPW(左)。展示コーナーは「液晶から量子ドット有機ELに買い替えませんか?」というメッセージを込めた演出になっており,右側はメーカーや製品名未公開の27インチ液晶ディスプレイだ
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 MSIは,すでにこのサイズと解像度の製品として,既報の「MAG 271QR QD-OLED X50」と「MAG 271QP QD-OLED X50」を用意している(関連記事)。これは,どちらかと言えばハイエンドゲーマー向けの製品という位置づけだった。
 MSIとしては「もう少し,量子ドット有機ELディスプレイに触れる人を増やしたい」ようで,ややスペック的に妥協した製品がMAG 272QPWというわけだ。

 X50モデルとMAG 272QPWのスペックに,どんな違いがあるのかというと,垂直最大リフレッシュレートにある。X50モデルは,数字が表すように垂直最大リフレッシュレート500Hzに対応する製品だ。一方のMAG 272QPWでは,「X28」とあるように280Hzまでである。応答速度は0.03msだ。
 ほとんどのゲーマーは,280Hzもあれば満足できるだろう。競合他社の有機ELディスプレイでは,240Hzの製品が多く,本機の280Hzという値は,競合製品を上回っていることをアピールするためという意味がありそうだ。

 そのほかのスペックを整理すると,HDR映像表示はDisplayHDR True Black 400認証を,動画性能はClearMR 15000(99.3%)を取得している。
 MAG 272QPWは,映像入力インタフェースとしてDisplayPort 1.4a×1,HDMI 2.1×2,DP Alt対応USB Type-C×1を備える。解像度2560×1440ドットの280Hzは,DisplayPort 1.4aはもちろん,HDMI 2.1でもギリギリDSCなしでの伝送が可能だ。そのため,DisplayPort 2.1aには対応していない。
 そのほかに,3極3.5mmミニピンヘッドフォン出力はあるが,USBハブ機能はない。

MAG 272QPWのインタフェース部。安価な製品らしくシンプルだ
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 MAG 272QPWは,MSIが「CAPCOM CUP 11」のスポンサーを務めたときに,公式ディスプレイとして採用された「MPG 271QRX QD-OLED」の後継モデルに相当するため,「ストリートファイター6」勢にも要チェックモデルとなるかもしれない。
 北米におけるメーカー想定売価は,599ドル前後(税別,約8万6300円)。500Hzモデルが849ドルと899ドルだったことを考えれば,MSIの量子ドット有機ELディスプレイでこの価格は,かなり安い印象を受ける。
 日本での発売も予定されており,早ければ2025年第3四半期に,遅くとも2025年内には発売の予定だそうだ。


eスポーツゲーマー向け600Hzの24インチ液晶ディスプレイ


 MSIは,量子ドット有機ELに主軸を置いたゲーマー向けディスプレイを展開していく方針であるが,「今でも根強く多い液晶ディスプレイファンに向けて,2025年も液晶ディスプレイ新製品は発売する」と,MSIブース担当者は述べていた。
 そのひとつが,世界最速級の垂直最大リフレッシュレート600Hzに対応した「MPG 242R X60N」だ。

MPG 242R X60N
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 世界最速といえば,ASUSTeK Computerが垂直最大リフレッシュレート610Hzに対応した「ROG Strix ACE XG248QSG」(以下,XG248QSG)を,COMPUTEX 2025に合わせて発表したものの,すぐにHKCが750Hz表示に対応した「ANT257PF」を発表したことで,最速の座を奪われた。MPG 242R X60Nは,それらに次ぐ速さのディスプレイといったところか。

シャッター速度1/400で,左から右へ動くキャラクターを撮影。左が600Hz表示中のMPG 242R X60Nで,左は製品名不詳のディスプレイによる60Hzでの表示。残像具合が全然違うというデモだ
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 本機のターゲット層は,ガチのFPS系eスポーツゲーマーで,画面サイズは,一望しやすさを最優先した24インチだ。
 映像パネルには,解像度1920×1080ピクセルの「Rapid TN」型液晶パネルである。「Rapid」という名称は,MSIによる命名であり,おそらく液晶パネル自体は,XG248QSGが採用しているAUO製TN液晶パネルと同じものだろう。
 ちなみに,本機の応答速度は公称0.1msで,XG248QSGと同一だ。
 HDR表示性能は簡易対応の「DisplayHDR 400」準拠。Counter Strike勢が好む,アスペクト比4:3表示モードも搭載する。

 映像入力インタフェースは,DisplayPort 1.4a×1,HDMI 2.1×2,DP Alt対応USB Type-C×1を装備する。そのほかに,PC切換器を備えるUSBハブ機能としてUSB 2.0 Type-B×1,USB 2.0 Type-A×3も並んでいた。

MPG 242R X60Nのインタフェース部
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 発売時期は2025年第3四半期以降を予定しており,北米におけるメーカー想定売価は,1000ドル前後を想定。ただ,XG248QSGの価格を見て,実勢価格を調整してくるのは確実だろう。


ミニLED×量子ドットIPS液晶モデルが安くなってきた


 2025年に投入予定のゲーマー向け液晶ディスプレイで,もうひとつ,注目の製品が「MPG 274URDFW E16M」(以下,274URDFW)だ。
 本機は,いわゆるミニLED技術と量子ドット技術を採用した液晶ディスプレイである。

274URDFW
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 ミニLED技術とは,極小タイプのLEDをバックライトシステムに活用するものだ。液晶パネルの背後に,膨大な数のミニLED光源を平面的に配置して,映像の明暗分布に合わせて,リアルタイムかつ高精細なライティングを可能にするバックライト技術である。

 一方の量子ドット技術とは,光の波長を変換する技術のこと。ミニLEDバックライトシステムに量子ドット技術を組み合わせる場合,青色単色のミニLEDバックライトシステムを構築したうえで,青サブピクセルはそのまま,赤サブピクセルと緑サブピクセルは,青色光を赤や緑に波長変換する量子ドットを利用して光らせているわけだ。
 液晶パネルでありながらも,自発光画素に近い映像表現ができることから,ミニLED技術と量子ドット技術の組み合わせは,液晶ディスプレイの究極形態のひとつと呼ばれることがある。

 そんな憧れの技術を用いたゲーマー向け液晶ディスプレイにもかかわらず,274URDFWの北米におけるメーカー想定売価は,なんと436ドル前後(税別,約6万2800円)。かなり安価に設定されているところが魅力的なのだ。日本では2025年後半に発売を予定しているという。

 274URDFWは,液晶パネルに27インチサイズで4K解像度のRapid IPS型液晶パネルを採用する。先述したように,RapidはMSIのマーケティングキーワードなので,液晶分子の粘性を下げた,いわゆる「Fast IPS」型液晶パネルだと思われる。公称応答速度は0.5ms(Gray to Gray)だ。
 4K表示時の垂直最大リフレッシュレートは160Hz。いわゆるデュアルモードに対応しているので,解像度をフルHDにまで下げると,垂直最大リフレッシュレートを320Hzまで引き上げられる。

「MSI Gaming Intelligence」アプリを使うと,各アプリごとの画調設定やゲーマー向け設定,リフレッシュレートをプロファイルとして保存,選択できる
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 274URDFWは,ミニLEDによる直下型バックライトシステムの採用しており,エリア駆動時の分解能は1152ゾーンだ。27インチの画面サイズとしては必要十分の分解能だろう。
 ミニLEDの個数は非公開だが,最低でもゾーン数の1152個はあるはずだ。膨大なLED数の恩恵もあって,最大輝度は1000nitに達し,VESAのHDR関連規格「DisplayHDR 1000」認証を取得している。

 量子ドット採用の効果で色域も広く,DCI-P3色空間カバー率は98%,sRGB色空間カバー率140%,Adobe独自の色空間規格「Adobe RGB」のカバー率も100%を達成している。色誤差分散率もΔE<2と優秀だ。
 映像入力インタフェースは,DisplayPort 1.4a×1,HDMI 2.1×2,DP Alt対応USB Type-C×1。そのほかに3極3.5mmミニピンヘッドフォン出力も備える。
 なお,4K/160HzやFHD/320Hzは,DSCなしの非圧縮で伝送可能だ。

274URDFWの背面側。Windows 11の「Dynamic Lighting」に対応するカラーLEDイルミネーションが組み込まれている
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 ゲーマー向けディスプレイだが,クリエイター向けのディスプレイとして活用してもポテンシャルは高そうだ。これで436ドルは魅力的である。

MSIのCOMPUTEX 2025特設Webページ

4Gamer.netのCOMPUTEX 2025特集ページ

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