
レビュー
机上に置きやすいコンパクトな筐体でも性能や静音性は優秀だ
G TUNE DG-I7G70
今回は,それらの中から,ミニタワーモデルの「G TUNE DG-I7G70」(以下,DG-I7G70)を紹介したい。
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はたして新型PCケースには,どのような特徴があり,ゲーマー向けPCとしてどの程度の性能を備えているのだろうか。
●目次
G TUNEの新しいミニタワー型PCケース製品情報ページ
使い勝手の良さが光る新型PCケース
さっそく,DG-I7G70の外観から見ていこう。
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実測の本体サイズは,215(W)×474(D)×384(H)mm(※突起部含む)で,比較的コンパクトだ。
なお,公称重量は公称で約11.0kgである。
全体は黒一色で落ち着いた雰囲気で,強化ガラスを採用した左側面のサイドパネルから内部が見える。随所にG TUNEのブランドカラーである赤色LEDが配置されており,黒地に赤色が映えるデザインだ。
フロントパネルは黒一色で,中央上部にLEDを組み込んだG TUNEロゴを配置する。フロントパネルを囲むように,吸気孔となるスリットがあり,そこにも赤色LEDを装備している。
最近のデスクトップPCでは珍しく,光学ドライブをフロントパネル右側に用意している。
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右側面の強化ガラス製サイドパネルは,ミニタワー型PC全モデルで標準装備とのこと。このサイドパネルは,上部の取っ手を引っ張ることで簡単に外すことが可能で,いちいちドライバーを用意する必要がない点は,使い勝手に優れている。
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コンパクトなサイズながらも,かなり内部空間は広めでメンテナンス性も良好だ。
電源ユニットがフロントパネル側に設置されているのもユニークなところ。背面の120mm径ファンと合わせて,前面から背面へと一直線で抜けるエアフローが確立されている。
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そのほかに,右側面の前側には開閉式のヘッドフォンホルダーも備わっている。
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新しいミニタワーPCケースは天面パネルも特徴的だ。
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天面パネルは,前側がトレイ,後ろ側がスリットの排気孔になっている。
排気孔というと,パンチ穴となっているPCケースが多いが,G TUNEの新型PCケースはスリットにしているので,見た目もいい。
前側のトレイは,面積で140(W)×145(D)mmあり,マウスやスマートフォンなど,デバイスの置き場所として活用できる。
トレイのすぐ横には,ヘッドセット入出力用の4極3.5mmミニピン端子のほか,転送速度5GbpsのUSB 3.2 Type-Cがひとつと,USB 3.0 Type-Aを2つが並ぶ。Type-AだけでなくType-Cも用意されているので,周辺機器の充電などで使いやすいのではないだろうか。
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これらのインタフェースは,開閉式のカバーで覆われており,使用しない間は閉じておけるので,端子に埃が溜まらない点もありがたい。
背面も当然黒一色だが,ケースファンの赤色LEDが排気孔越しに漏れ出るので,通電中はかなり派手だ。
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背面インタフェースは,転送速度20GbpsのUSB 3.2 Gen 2x2 Type-C×1のほか,USB 3.0 Type-A×2,USB 2.0×2など,計5基のUSBポートを備える。
映像出力は,グラフィックスカード側に用意されたDisplayPort×3,HDMI×1という構成だ。
そのほかに,吸気孔となる底面には,防塵フィルターを装備。背面からフィルターを引き出せる構造になっており,掃除も簡単だ。
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i7-14700F+RTX 5070で,ゲーム用途でも満足のいく仕様
DG-I7G70のスペックを見ていこう。
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i7-14700Fは,高性能コアP-coreが8基と,高効率コアE-coreが12基の20コア28スレッドタイプのCPUで,最大動作クロックは5.4GHzを誇る。複数のコアでキャッシュを共有するIntel Smart Cacheを容量33MBも備えており,ゲーム用途での性能は十分といっていい。
DG-I7G70では,冷却用に簡易水冷CPUクーラーを採用する。ラジエータは240mmサイズで,天面パネル側に装着されており,120mm径のファン2基で天面パネルから排気する仕組みだ。
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試用機のグラフィックスカードは,MSIの「GeForce RTX 5070 12G SHADOW 2X」が装着されていた。このカードは,国内では単体販売されていないようだが,GPUとして「GeForce RTX 5070」(以下,RTX 5070)を搭載している。
ベースクロックは2325MHzで,ブーストクロックが2512MHzと動作クロック設定はリファレンスどおりのグラフィックスカードだ。
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カード長は約231mmほどと短めで,2.5スロット占有タイプのGPUクーラーに,100mm径相当のファンを2基搭載している。なお,赤色LEDが多く搭載されているDG-I7G70だが,このカードにはLEDがない。
カード自体の公称重量は,約724gと比較的軽めだが,DG-I7G70はカードステイ(カードホルダー)を標準装備しているので,PCケースにしっかりと固定できる点は好感が持てる。
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メインメモリは,DDR5-5600を16GB×2枚の32GB分を搭載する。
ストレージは,M.2 SSDを2TB内蔵していた。試用機のSSDは,CFD販売の「CSSD-M2PE27TSV7Q2000GB」だ。なお,SSDにはヒートシンクが装着されているので,サーマルスロットリングの心配もなさそうだ。
メインメモリとSSDのどちらも,ゲーム用途で申し分ない速度と容量だろう。
マザーボードは,Intel B760チップセットを採用したmicro ATXタイプを採用している。「CPU-Z」では,マザーボードはマウスコンピューターの「B760M-R20」となっていた。ただ,基板上にはASRockのシルク印刷があるので,ASRock製マザーボードがベースになっているようだ。
基板を見ると,マザーボードの電源部は7フェーズ構成だった。
1000BASE-T対応の有線LANとWi-Fi 6E対応の無線LAN機能を備えており,Bluetooth 5も利用できる。Bluetooth対応のマウスやゲームパッドも簡単に使用可能だ。
電源ユニットは,80PLUS BRONZE認証を取得した定格出力750Wのものだった。この電源ユニットは,ATX 3.1こそサポートしていないものの,グラフィックスカードの補助電源コネクタは,変換コネクタを使うことで対応している。
DG-I7G70の主な仕様は以下のとおり。
CPU | Core i7-14700F (20コア28スレッド(P-core:8,E-core:12,P-core定格クロック2.1GHz,P-core最大クロック5.4GHz,共有L3キャッシュ容量33MB) |
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メインメモリ | DDR5-5600 |
マザーボード | Intel B760チップセット搭載 |
グラフィックス | GeForce RTX 5070(グラフィックスメモリ容量 12GB) |
ストレージ | 容量2TB |
無線LAN | Wi-Fi 6E |
Bluetooth | 5対応 |
有線LAN | 1000BASE-T |
外部 |
DisplayPort 2.1b×3,HDMI 2.1×1, |
電源ユニット | 定格出力750W, |
公称本体サイズ | 約215(W)×474(D) |
公称本体重量 | 約11kg |
OS | Windows 11 Home 24H2 |
2560×1440ドット以下で多くのゲームを快適にプレイできる
DG-I7G70のテスト環境について説明していこう。使用したグラフィックスドライバは,「GeForce 581.29 Driver」で,これはテスト時に最新バージョンとなるものだ。
テスト内容は4Gamerのベンチマークレギュレーション31に準拠。テスト解像度は,いつものように1920×1080ドット,2560×1440ドット,3840×2160ドットの3つを選択している。
まずは「3DMark」(Version 2.32.8454)の結果から順に見ていこう。
グラフ1は,3DMarkのDirectX 11テスト「Fire Strike」をまとめている。
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グラフ1のFire Strikeを見ていくと,DG-I7G70は,テスト解像度が3840×2160ドットとなるFire Strike Ultraでも1万5000ほどのスコアを発揮したほか,Fire Strike“無印”で4万を超えているなど,好成績を残している。
もはやFire Strikeは,現行世代においては描画負荷が軽くなってしまった感はあるものの,DG-I7G70は少し古いゲームでもかなり快適なプレイができそうだ。
グラフ2は,3DMarkのDirectX 12テスト「Time Spy」の総合スコアである。
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Fire Strikeより描画負荷が大きくなるため,さすがにスコアは低下するものの,Time Spy Extremeで1万を超えてみせた点は立派だ。Time Spy“無印”も2万以上とスコアは高く,DG-I7G70の描画性能は良好といえよう。
Time Spyは,DirectX 12 Future Level 11ベースのテストだが,最近のゲームでは,DirectX 12 Future Level 12が採用されているものがほとんどだ。グラフ3の「Steel Nomad」は,DirectX 12 Future Level 12_0に基づき,レイトレーシングを使用しないテストである。
同様に,「Speed Way」はDirectX 12 UltimateとリアルタイムレイトレーシングのDirectX Raytracingを使用したテストで,「Port Royal」は,Speed Wayよりも少し古い世代のレイトレーシング性能検証用のテストである。
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Steel NomadにおけるDG-I7G70のスコアは,5000強といったところ。テスト環境が異なるため単純な比較はできないが,「GeForce RTX 5070 Founders Edition」(以下,RTX 5070 FE)のレビューでは,スコアが4700ほどだったので,そこからドライバの最適化が進んだのだろうか。いずれにせよ,DG-I7G70は十分高いスコアを発揮している。
一方,Speed Wayの結果は6000弱。こちらもRTX 5070 FEのスコアと比べて,1割程度向上している。Steel Nomadと同じくドライバの最適化でスコアが上昇した分もあると思うが,DG-I7G70はRTX 5070の性能を十分活かせていると言っていい。
Port RoyalにおけるDG-I7G70のスコアは14000弱と高い。これだけ高いスコアであれば,DG-I7G70はレイトレーシングを有効にしてゲームを快適に遊べそうだ。
では,実際のゲームではどうなのか。グラフ4は,「Call of Duty: Black Ops 6」(以下,CoD: BO6)の結果となる。
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DG-I7G70にとって,3840×2160ドットはさすがに描画負荷が大き過ぎるためか,1パーセンタイルフレームレートは60fpsを割ってしまっている。しかし,2560×1440ドットでは,事実上の最小フレームレートに当たる1パーセンタイルフレームレートが80fpsを上回り,1920×1080ドットに至っては100fpsを超える結果を見せつけた。つまりDG-I7G70は,CoD: BO6を2560×1440ドット以下の解像度であれば,快適にプレイできるわけだ。
続いてグラフ5は,「モンスターハンターワイルズ ベンチマーク」(以下,モンハンワイルズ ベンチ)の総合スコアをまとめている。
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カプコンが示す指標では,スコア2万以上で最高評価となる「非常に快適にプレイできます」とされている。それを踏まえると,DG-I7G70は,2560×1440ドット以下の解像度で快適にプレイできそうだ。
3840×2160ドットは2万に届いていないので,快適に遊ぶためには描画設定をレギュレーション31で規定するウルトラプリセットから,少し下げる必要がありそうだ。
グラフ6は,モンハンワイルズ ベンチにおける平均フレームレートと1パーセンタイルフレームレートの結果となる。
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カプコンの指標でスコア2万以上というのは,平均フレームレートが60fps以上,1パーセンタイルフレームレートが40fps以上のようだ。DG-I7G70は,2560×1440ドットで常時40fpsの結果を叩き出しているので,これ以下の解像度であれば,ウルトラプリセットで快適に遊べるといえよう。
「Fortnite」の結果がグラフ7だ。
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レギュレーション31では,Fortniteを快適にプレイするためには,最小フレームレートが60fps以上であることを必須としているが,DG-I7G70は2560×1440ドットでそれを満たしている。
1920×1080ドットに至っては,平均フレームレートが130fpsを超え,最小フレームレートが100fpsに迫るほどで,コアなゲーマーでも満足のいく結果を残している。
その一方で,3840×2160ドットでは最小フレームレートは40fps台まで低下しており,ウルトラ画質での4Kには力不足なのが分かる。
グラフ8では,「Starfield」の結果を示す。
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レギュレーション31では,Starfieldを快適にプレイするための基準を,平均フレームレート40fps以上としているが,DG-I7G70は3840×2160ドットでもそれを満たしている点は評価できよう。
1920×1080ドットに至っては,1パーセンタイルフレームレートが80fpsを上回って,平均フレームレートも100fpsに達するほど高い。プレイに問題がないのは,誰の目にも明らかだ。
グラフ9は,「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下,FFXIV黄金のレガシー ベンチ)の総合スコアをまとめたものだ。
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スクウェア・エニックスが示す指標では,スコア1万5000以上が最高評価の「非常に快適」とされている。それを踏まえると,DG-I7G70は2560×1440ドット以下の解像度でそれを満たしている。
3840×2160ドットのスコアは1万2000弱と,指標の評価では「とても快適」に相当する。3840×2160ドットでプレイできなくなくもないが,より快適さを求めるのであれば,設定をいくつか変更するとよいだろう。
そんなFFXIV黄金のレガシー ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものが,グラフ10だ。
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平均フレームレートは総合スコアを踏襲している。一方,最小フレームレートは,2560×1440ドット以下では85fpsで頭打ちになっている。これは,CPU性能が足かせになっているためだが,2560×1440ドットと1920×1080ドットでは,ゲームの快適さはあまり差がないと言っていい。
グラフ11は,「F1 25」の結果だ。
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レギュレーション31では,平均フレームレート80fps以上,最小フレームレートは40fps以上で合格点としているが,DG-I7G70でそれを満たしたのは,1920×1080ドットのみだった。
このテストは,超最大プリセットを使用しており,パストレーシングも有効になっているため,描画負荷はかなり高めだ。DLSSを有効にしているとはいえ,DG-I7G70にとって2560×1440ドット以上の解像度では性能不足が露呈してしまっている。
もし,高解像度で快適にプレイしたいのであれば,下位のプリセットに変更したり,パストレーシングをオフにしたりする必要があるだろう。
「Cities: Skylines II」の結果が,グラフ12となる。
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レギュレーション31では,快適にプレイするための基準として,平均フレームレート25fps以上,1パーセンタイルフレームレートは15fps以上としている。DG-I7G70は,3840×2160ドットでもそのラインを上回っている点は評価できよう。
1920×1080ドットになると,1パーセンタイルフレームレートが20fpsを超え,より快適なプレイが実現できている。
冷却性能と静音性ともに良好なミニタワーPCケース
DG-I7G70のゲームプレイ時における消費電力は,どの程度なのだろうか。
そこで,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts Up Pro」を用いて,システム全体の最大消費電力を計測した結果も見てみよう。
テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。
その結果がグラフ13だ。
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DG-I7G70の各アプリケーション実行時における消費電力は,400〜450W程度といったところ。DG-I7G70は,定格出力750Wの電源ユニットを搭載していることから,消費電力はその53〜60%程度といえる。
一般的に電源ユニットは,50%の消費電力で最高効率を発揮すると言われており,DG-I7G70はそれに近い仕様を満たしているといえるだろう。
さらに,「Core Temp」(Version 1.18.1)で計測したCPU温度と,GPU-Zを用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。温度約24℃の室内で,DG-I7G70を机上に置いてテストを行っている。なお,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,Core TempおよびGPU-Zから温度を取得することにした。
結果はグラフ14のとおり。
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DG-I7G70は,高負荷時においてCPUが71℃,GPUが79℃と,どちらも80℃を下回っている点は評価できよう。新型PCケースのエアフローは良好で,それがしっかり冷却に結びついていると言っていい。コンパクトなサイズのPCであるが,適切に運用すれば,内部に熱が籠りすぎる心配は無用だ。
最後に,騒音計を使って,DG-I7G70の動作音もチェックしておきたい。今回は,室内の音が41.3dBAの環境で,机上に置いたDG-I7G70に正対する形で50cm離したところに騒音計を置いて,動作音を計測した。その結果はグラフ15だ。
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DG-I7G70の動作音は,高負荷時でも43.0dBAで,かなり低めである。耳を澄ますと動作しているのが分かる程度の音が聞こえるものの,ヘッドセットを装着すると,まったく聞こえない。新型PCケースは,静音性にも優れていると言っていい。
高いゲーム性能と新型PCケースの相乗効果で価格対スペック比は優秀だ
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さらに,新しいミニタワーPCケースはコンパクトなので,机上に置いても邪魔になりにくく,それでいて内部の冷却性能と静音性に優れている点も好印象だ。
それでいて,税込価格は29万9800円と,30万円を切っており,価格対スペック比は優秀だ。コンパクトなゲームPCの購入を検討しているのであれば,DG-I7G70は,有力な選択肢のひとつではないだろうか。
マウスコンピューターのDG-I7G70製品情報ページ
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